農民芸術概論綱要
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「農民芸術概論綱要」は、賢治が協会での講義用として執筆した文章である。「綱要」というタイトル通り、「序論」から「結論」に至る10章ごとに10行前後の短い命題によって構成されている。体系立てられてはいないものの、賢治が残した数少ない芸術論として知られる。 賢治は花巻農学校在職時の1926年1月から3月にかけて、岩手県が農学校を利用して開設した岩手国民高等学校(常設の学校ではなく、農村指導者を養成するための集合講座)の講師を務めた折に、この文章に近い講義をおこなった。受講生の一人が講義録のノートを残しており、この文章の成立や意図をうかがう上で貴重な資料となっている。 また、評論家室伏高信のベストセラー『文明の没落』やウィリアム・モリスからの影響が研究者によって指摘されている。 文章自体は生前は未発表で、没後の全集に収録されたが、1945年(昭和20年)に花巻空襲での賢治の実家の被災により草稿は焼失した。その後、賢治の講義を受講した生徒のノートを元に、誤植とみられる箇所の補正がなされている。 本文に含まれる「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」「まずもろともにかがやく宇宙の微塵となりて無方の空にちらばろう」といったフレーズを刻んだ文学碑も複数存在する。
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