転売による影響、損害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 08:18 UTC 版)
他の製品やサービスの購買機会を逸失する 転売により適正価格で物品やサービスが提供されなくなった結果、その製品が適正価格で購入されたときに付随して販売できたであろう補完品の追加購入、イベントのチケットなどの場合はイベント会場周辺のサービスが購買されなくなり、経済全体に影響を及ぼす。 製品の宣伝機会の減少、逸失、新規購入層開拓の阻害 新シリーズの製品発売にあたり、ファン層開拓のために薄利多売で発売した第一弾の製品が転売屋によって値段を釣り上げられた場合、消費者はシリーズそのものの価格が今後も釣り上げられると予測することで買い控えが発生し、シリーズ展開の計画見直しを余儀なくされる。さらに、販売店の棚の商品が少なくなり、低年齢層の子供の新規拡大を阻む要因にもなる。アメリカでは市場原理が露骨に反映し、高額転売されたチケットは富裕層にしか手が届かなくなった。 メーカーの生産計画の大幅な見直しを強いる 転売屋の買い占めの影響で製品が完売した場合、メーカーは「転売屋と、本当にその製品を欲するユーザーの割合」が不明瞭となる。また、前述したとおり買い占めによる購入断念なども発生するため、メーカーは次回分を出荷すべきか、出荷するとしてもどの程度の数量を出荷するかの判断に苦慮することになる。 保存条件の悪化・抜き取り行為などによる品質の劣化 常温で長期の保存ができない食品や酒類などが転売のターゲットとされた場合、適切な温度管理ができずに品質が劣化する場合がある。その他、トレーディングカードゲームなどのランダム封入の商品では、商品を手にとってパッケージの一部をまくったり、持参した計量器にかけたり、あるいは小型の金属探知機などにかけるなどでレアリティの高いものを探り当てて抜き取る行為が横行し、商品のパッケージを傷めるケースも見受けられた。こうした行為に対して、日本政府は個人を装って不良品を出品する業者を規制する方針を固めた。 メーカー保証期間の短縮または期限切れ、無効化 メーカー保障の期間は、転売屋が新品を購入した日から数えるため、保障期間が短くなる。また、故障時のメーカー保障に際しては「新品購入したユーザーからの申し出」のみ有効とされる場合があり、転売屋から購入した商品はたとえ未開封であっても「中古品として購入されたもの」として扱われ、保障が無効化されるおそれがある。 ユーザーが商品を探す時間とコストを浪費させる 転売屋によって買い占められた製品がどこかに適正価格で売れ残っていないか探すために、通販サイトを検索する時間、あるいは自宅近隣から遠く離れた実店舗に行くための時間の浪費や交通費の出費を余儀なくされる。さらに、実店舗へ到着した頃にはすでに完売している場合も多く、多重の手間を強いられることになる。 メーカーや販売店のイメージダウン 転売屋の買い占めによって、本来予想していた必要数を店舗に置けないことにより、「このメーカー(もしくは店舗)は適正な数を入荷しておらず、品薄商法を行っている」と考えるユーザーやクレーマーが発生し、メーカーや販売店にマイナスイメージを与えるおそれがある。 脱税行為の助長、反社会組織の原資となる 古物商などの許可を持たずとも、オークションやフリーマーケットで大量の中古物件を売買した場合、業者行為とみなされ消費税や各種の税金を支払う義務が生じるが、転売行為を恒常的に行っている者には税金の存在を意識することはなく、脱税行為が常態化している場合がある。また、反社会組織の原資として転売行為が利用される場合もある。 ゲーム機およびゲームソフト販売戦略への悪影響 ゲーム機の売り上げはゲームソフトのロイヤリティ収入と密接な関係にあり、転売目的でゲーム機が売れたとしてもゲームソフトを遊びたいユーザーに対して売れなければ、ゲームソフトの売り上げ増加につながらずメーカーの収益が伸びない。
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