転回点としての第2幕の重要性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 14:59 UTC 版)
「ワルキューレ (楽劇)」の記事における「転回点としての第2幕の重要性」の解説
しかし、第2幕でフリッカの登場によって「遠大な計画」は否定される。ヴォータンが必要としていたのは「自由な意志を持ち、自発的に行動する英雄」であったが、フリッカはその英雄に意志を吹き込み、けしかけているのはヴォータン自身だと見抜く。ここに決定的な自己矛盾があったことを知ったヴォータンは、フリッカの要求を呑んでジークムントを殺すことを誓約せざるを得なかった。ヴォータンは「私が作り出すものは奴隷ばかり」と自己嫌悪に陥る。こうしてヴォータンの構想は挫折し、物語は暗転する。この挫折によって、ヴォータンは楽劇全体の実質的な主人公でありつつも、第一線から退く形となり、代わって新たに主役にふさわしい存在となっていくのがブリュンヒルデである。 この「遠大な構想」とその挫折が語られる第2幕第2場は、四部作の叙事的分水嶺ともいうべき箇所で、1855年10月3日付けでワーグナーがリストに宛てた手紙には、「(第2幕第2場は)四部作のドラマの運びにとってもっとも重要な場景」と記されている。
※この「転回点としての第2幕の重要性」の解説は、「ワルキューレ (楽劇)」の解説の一部です。
「転回点としての第2幕の重要性」を含む「ワルキューレ (楽劇)」の記事については、「ワルキューレ (楽劇)」の概要を参照ください。
- 転回点としての第2幕の重要性のページへのリンク