起源 1891年–1893年
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「ベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道」の記事における「起源 1891年–1893年」の解説
ベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道が路線建設を計画した区間に対しては、19世紀半ばから各種の地下鉄路線建設案が出されていた。遅くとも1865年には、ウォータールー・アンド・ホワイトホール鉄道と称する、空気圧推進の地下鉄道の建設案が推進されていた。この案では、列車はグレート・スコットランド・ヤード(英語版)からウォータールー駅までのおおむね1キロメートル(3/4マイル)の区間で、テムズ川の底に掘られた溝の中に置かれた鋼管の中を空気噴射または吸引により走行するものとされていた。金融危機により会社が破産したため、この案は3年後に取りやめとなっている。別の案では、シーメンスが社名の由来となった電気技術者カール・ウィルヘルム・シーメンス(英語版)を擁してチャリングクロス・アンド・ウォータールー鉄道と称する計画を立案、1882年の議会で具体化されたが、 ヴィクトリア堤防(英語版)の下に60フィート (18 m)のトンネルを掘っただけで資金が枯渇し、計画は中止されている。 ベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道が1906年に発行したパンフレットには、「この区間への路線建設構想はウェストミンスター地区で働くビジネスマンたちが、ローズ・クリケット・グラウンドまで移動する時間を短縮」することで、夕方からおこなわれるクリケットの試合に職場を早退することなく間に合いたい、との「要望から起こった」とされている。ビジネスマンたちは、ロンドン中心部の南北を結ぶ地下鉄を建設することは「長年の要望だった交通機関」を提供することを意味し、「必ず成功する」と考えていた。1890年11月に開業した世界初の大深度地下鉄であるシティ・アンド・サウス・ロンドン鉄道(英語:City and South London Railway、C&SLR)は開業1年で多数の乗客を運んだ実績を残すことで地下鉄の可能性を証明しており、ベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道の発案者たちもこの成功に触発されていた。 1891年11月、ベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道の建設計画の個別的法律案(英語版)が議会に提出されることが発表された。この鉄道は全区間が地下で、ベーカーストリートの西にあるドーセット・スクエアとニュー・ストリート(後のメルコム・ストリート)との交差点から、ウォータールー駅南側にあるジェームス・ストリート(後のスパー・ロード)までを結ぶ計画とされた。ベーカーストリートからマリルボン・ロード(英語版)の下を東に向かい、南に曲がってパーク・クレセント(英語版)を通った後、ポートランド・プレイス(英語版)、ランガム・プレース、リージェント・ストリートを通ってピカデリーサーカスに至る。ピカデリーサーカスからはヘイマーケット、トラファルガー広場、ノーザンバーランド・アベニュー(英語版)を通り、テムズ川を横断してウォータールーに到達する。列車の動力源は電気駆動かケーブル式のいずれかとされた。 1892年の議会立法期制(英語版)期間に、シティ・アンド・サウス・ロンドン鉄道の成功に触発された3つの鉄道会社の個別的法律案が提出され、統一された思想のもとでの審査を行うため、議会特別委員会(英語版)が設置された。委員会は大深度地下鉄の建設及び運営に関する様々な問題に対する事例を取り上げ、トンネル直径、列車の動力、通行権の付与についての提言を行った。オックスフォード・サーカスとベーカーストリートの間に計画されていた、クラウン・エステートとポートランド公が所有する土地への駅建設を委員会は認めなかったが、その他のベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道の計画案は議会審議に進むことが認められた。路線案は承認され、1893年3月28日に1893年ベーカーストリート・アンド・ウォーター鉄道法として女王裁可(英語版)を得た。 ベーカーストリート、オックスフォード・サーカス、ピカデリー・サーカス、トラファルガー・スクエア、エンバンクメント及びウォータールーに駅を設置すること、車庫はジェームス・ストリートに位置する路線の南側の終点と、ロアー・マーシュ(英語版)の間に設置されることが認可された。
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