賭博関与力士の公表、処分へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 13:55 UTC 版)
「大相撲野球賭博問題」の記事における「賭博関与力士の公表、処分へ」の解説
6月11日、この時点まで力士の賭博関与について相撲協会は一切認めていなかったが、相撲協会は一転して複数の現役力士が野球賭博に関与したと発表した。これはそれまで報道されてきた力士とは別の力士で、師匠を通じて自己申告してきたものである。これを受け、相撲協会は6月14日までに過去5年間にさかのぼって野球を含む違法賭博への関与を自己申告すれば、情状酌量を汲んで厳重注意のみ、それ以降に発覚した場合は厳罰処分とするとした(のちにこの方針は撤回される。後述)。 6月14日、それまで一貫して否定してきた琴光喜が野球賭博への関与を明らかにし、この日までに野球賭博に29人、賭け麻雀、ゴルフ、花札などの賭博に36人の計65人が関わったと申告してきたことを発表した。翌15日、琴光喜は翌月に開催される名古屋場所の出場辞退と謹慎を申し出、相撲協会はそれを受理した。また、賭博関与を申告した65人を厳重注意とすると発表した。同日、相撲協会は管轄の文部科学省に報告、謝罪し、文部科学省は名古屋場所開催までに一定の解決を図るように求めている。また、外部有識者による第三者機関の設置と、関与した力士の実名公表も求められたが、実名公表については警察の強い要請があり、この時点では相撲協会は公表できないと伝えている。なお、この時点で公式に関与を認めていたのは琴光喜のみであったが、警察関係者からの情報により関わったとみられる者の名前がつぎつぎと取り沙汰される状態にあった。 6月21日、相撲協会は外部の第三者による特別調査委員会(委員長は伊藤滋・東大名誉教授(日本相撲協会外部理事)、委員に吉野準・元警視総監(日本相撲協会監事)、村山弘義・元東京高等検察庁検事長(日本相撲協会外部理事)が就任した。さらに、野呂田芳成前衆議院議員(元農林水産大臣)ほか外部有識者を委員に招聘)を設置、一連の処分内容を判断する権限を与えることを発表する。これを受け、武蔵川理事長が会見にのぞみ、名古屋場所の開催中止の可能性を示唆しており、開催については特別調査委員会の報告が7月4日に行われる理事会ではかられることになった(のちに前倒しになっている。後述)。自己申告すれば厳重注意で済ませるとした方針を変更したことも述べており、理由としてはこれほど大勢の人間が賭博に関わっていたのは想定外だったとしている。なお、理事長の進退問題についてはその時点では取らないとしていた。 6月27日、特別調査委員会で相撲協会に対して名古屋場所開催するための条件を盛り込んだ勧告案がまとまり、相撲協会に対して勧告している。翌日の臨時理事会と評議員会でほぼそれらを受け入れ、名古屋場所の開催を決めている(個々の勧告、処分は後述)。6月29日、監督官庁の文部科学省に理事が訪れ、一連の処分勧告受け入れを報告、名古屋場所の開催を了承された。 7月4日、臨時理事会で、勧告案のうち相撲協会が受け入れた処分が決定され、琴光喜は退職金は出す解雇、大嶽親方は退職金を出さない解雇となった。また、これまで正式には公表されていなかった野球賭博関与力士、関係者、及びその他の違法賭博関与力士の名前が公表され、野球賭博関与者27名、それ以外の違法賭博関与者49名(このうち未成年者3名の名前は非公開)とされており同日これらの力士らは謝罪している(詳細な処分は後述)。謹慎処分となった武蔵川理事長の代理に協会の外部理事の村山弘義を決めている。これに関しては親方たちから代行に外部者をすえることに反発する声が出て、放駒理事をおす声もあったが、特別調査委員会のメンバーもそれに対して反発したことから、最終的には親方側が折れ、村山で落ち着いている。理事会は同日、希望者の名古屋場所のチケットの払い戻しを受け付けることも決定した。この問題の影響で名古屋場所の番付発表が1週間延期され、7月5日となったが、番付表には前日に解雇になった琴光喜や大嶽親方の名前が載ることになった。 琴光喜の解雇に反対した貴乃花親方は7月4日の臨時理事会で退職届を出しているが、受理されず慰留され、翌日退職を撤回している。 7月7日、警視庁組織犯罪対策第3課は、賭博開帳図利の疑いで、阿武松部屋、境川部屋、時津風部屋など三十箇所以上を一斉に家宅捜索した。捜査は野球賭博に関わったと申告した力士などの所属部屋が中心で、東京などの部屋や愛知県の名古屋場所の宿舎などを対象にしている。同日、今回の問題の責任を取る形で、日本相撲協会から名古屋場所で優勝力士に贈られる内閣総理大臣杯を辞退したい旨の申し入れがあったことを、仙谷由人内閣官房長官が記者会見で明らかにした。その後、日本相撲協会は賜杯を含む外部からの22全ての表彰を辞退することを発表し、名古屋場所の優勝者への表彰は優勝旗と賞金1000万だけとなっている。 7月9日、特別調査委員会は「ガバナンス(統治能力)の整備に関する独立委員会」の委員を指名した。委員の顔ぶれは、奥島孝康、渡辺美樹、中島隆信、前田雅英、森まゆみ、深沢直之、岡本浩一、新田一郎、菅原哲朗、山本浩、木暮浩明の11名である。
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