誤診の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 15:30 UTC 版)
腰の痛みと歩行困難となり、3人の医師を訪ねたが、それぞれ更年期障害、自律神経失調症、原因不明とされ、まだ痛むので整形外科に入院したが、「気持ちの問題」「痛いと思うから痛い」などと言われ、別の病院に行ったら、血液検査に疑問な点があり化膿性脊髄炎と診断された。先の入院では医師の言動によって心因性に症状が悪化したといってよい。 他には、頭痛、めまい、歩行時によろめくといった症状を呈し、大学付属病院の内科で異常がなかったため、精神科に行き心因性が疑われた後に、脳波異常、右耳に偏った難聴が検査で確認され、外泊を含む入院5か月までに心理面接も定期的に行われ、最終的に、本人が口を割らなかった鎮静剤の慢性中毒だと判明した。 過度の疲労、身体中の痛み、睡眠障害、消化器の不調等の症状があり、通常の検査結果には何も異常が見られない事から「精神的な問題である」と言われていた患者が、他院に転院し遺伝子検査を受けた結果、古典型エーラスダンロス症候群判明したケースもある。エーラスダンロス症候群は身体症状症や慢性疲労症候群と誤診を受けがちな症状を呈することがある。このような身体表現性障害と似ている症状が重く現れる患者の場合、エーラスダンロスの典型症状である皮膚の進展症状が重症ではない場合もある。エーラスダンロス症候群の有病率は5000人に1人と言われているがこれは誤りであり、多くの患者が身体表現性障害等の別の疾患の診断を受け続けるため、正しい診断名にたどり着けないことで有病率が実際の患者数よりも低いのである。 体内異物に対する免疫反応を起こしている患者がこの疾患の診断を受ける。この症状はBreast Implant Illnessと呼ばれ、英語圏ではさまざまな文献が存在している。体内異物は人工関節や美容整形等の液体注入系の異物、豊胸だけではなく鼻や顎等の異物を含む。体内異物に対する免疫反応やアレルギーの場合、通常検査で検査所見は異常が見当たらないが、異物を除去することで症状が改善する。この疾患は海外では身体表現性障害に誤診を受けやすい疾患としてBreast implant illnessと呼ばれ多くの文献で取り上げられている。 心因性に見えても、身体の検査を怠らず、資料を集めて、その範囲を超える不確かな判断に注意し、身体・精神両面からの可能性を忘れないことが教訓とされる。
※この「誤診の例」の解説は、「身体表現性障害」の解説の一部です。
「誤診の例」を含む「身体表現性障害」の記事については、「身体表現性障害」の概要を参照ください。
- 誤診の例のページへのリンク