語源・用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 06:08 UTC 版)
英語で共和制や共和国を意味する「republic」(リパブリック)の語源はラテン語のレス・プブリカ(ラテン語: res publica)で、「公共物、公益、公法」などを意味し、「私なるもの」を意味するレス・プリワタ(ラテン語: res privata)の対比語として使用され、更には「公共の政府を持つ国家」の意味で使用された。特定の個人や階級のためにではなく、全構成員の共通の利益のために存在するものとされる政治体制を指した。 日本語では主に、政体の場合は「共和政」、制度の場合は「共和制」、国家の場合は「共和国」、思想の場合は「共和主義」(英: republicanism)とする場合が多いが厳密ではない。それぞれの対義語は、君主政、君主制、君主国(英: monarchy)、君主主義(英: monarchism)である。 現用される意味での「共和」という漢語は日本由来である。19世紀半ばごろまでの西洋文献の翻訳では英語のdemocracyとrepublicを区別せず、中国では両方を「民主」と翻訳し、日本では両方を「共和」と翻訳した。「共和」の語は中国古典にもあったが、そこでの用法は政体についてのものではなかった。 漢語の「共和」は中国史上の「共和」と呼ばれる期間に由来する。大槻磐渓の示唆により箕作省吾がその著『坤輿図識』(1845年)で「republic」の訳語として初めて用いた。中国史の「共和」時代は、西周の厲王が暴政を行って国人(諸侯と都市住民)に追放された後の14年間で、『史記・周本紀』によれば、宰相の召公と周公が共同して(共に和して)統治に当たったとされた。一方、これは誤りで、「共伯和」(共という国の伯爵の和という人物)が諸侯に推戴されて王の職務を代行したこと(『古本竹書紀年』の記述)からそう呼ぶという説もある。いずれにしても、中国歴代王朝が支配した歴史の中で、この時期は世襲の君主がおらず、有力者の合議による政治が行われていたと考えられていたため、「共和」の語が「君主のいない政体」を指すものとして用いられることになった。 その他に「共和国」と同じ意味の訳語として民国があり、一部の国号に使われている(中華民国、大韓民国)。
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