言語間の同根語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/12 08:09 UTC 版)
例として、インド・ヨーロッパ祖語の*nókʷts(「夜」)に由来するものには、英語のnightを始め、以下の例がある。nicht (スコットランド語), Nacht (ドイツ語), nacht (オランダ語), nag (アフリカーンス語), Naach (ケルン語), natt (スウェーデン語, ノルウェー語), nat (デンマーク語), nátt (フェロー語), nótt (アイスランド語), noc (チェコ語, スロバキア語, ポーランド語), ночь/noch (ロシア語), ноќ/noć (マケドニア語), нощ/nosht (ブルガリア語), nishi (ベンガル語), ніч/nich (ウクライナ語), ноч/noch/noč (ベラルーシ語), noč (スロベニア語), noć (ボスニア語, セルビア語, クロアチア語), nakts (ラトビア語), naktis (リトアニア語), νύξ/nyx (古代ギリシア語), νύχτα/nychta (現代ギリシア語), nakt- (サンスクリット語), natë (アルバニア語), nos (ウェールズ語, コーンウォール語), noz (ブルトン語), nox/nocte (ラテン語), nuit (フランス語), noche (スペイン語), nueche (アストゥリア語), noite (ポルトガル語, ガリシア語), notte (イタリア語), nit (カタルーニャ語), nuèch/nuèit (オック語), noapte (ルーマニア語)。 別の例はインド・ヨーロッパ祖語の*h₂stḗr (「星」)で、英語のstarを始め、以下の例がある。starn (スコットランド語), Stern (ドイツ語), ster (オランダ語, アフリカーンス語), Schtähn (ケルン語), stjärna (スウェーデン語), stjerne (ノルウェー語, デンマーク語), stjarna (アイスランド語), stjørna (フェロー語), stairno (ゴート語), str- (サンスクリット語), tara (ヒンドゥスターニー語, ベンガル語), tera (シレット語), tora (アッサム語), setāre (ペルシア語), stoorei (パシュトー語), estêre, stêrk (クルド語), astgh (アルメニア語), ἀστήρ (astēr) (古代ギリシア語), ἀστέρι/ἄστρο, asteri/astro (現代ギリシア語), astrum/stellă (ラテン語), astre/étoile (フランス語), astro/stella (イタリア語), stea (ルーマニア語, ヴェネツィア語), estel (カタルーニャ語), astru/isteddu (サルデーニャ語), estela (オック語), estrella/astro (スペイン語), estrella (アストゥリア語, レオン語), estrela and astro (ポルトガル語, ガリシア語), seren (ウェールズ語), steren (コーンウォール語), sterenn (ブルトン語)。 アラビア語の سلام salām、ヘブライ語の שלום shalom、アッシリア現代アラム語のshlama、アムハラ語のselam (全て意味は「平和」)はセム祖語の *šalām-(「平和」)に由来する。 以上のように一見して判別できる同根語だけでなく、判別が容易でない同根語もある。英語のmilk(「牛乳」)の同根語にはドイツ語のMilch、オランダ語のmelk、ロシア語のмолоко (moloko)、セルビア語・スロベニア語のmleko、モンテネグロ語・ボスニア語・クロアチア語のmlijekoがあり、これは判別が容易な例であるが、フランス語のlait、カタルーニャ語のllet、イタリア語のlatte、ルーマニア語のlapte、スペイン語のleche、ポルトガル語・ガリシア語のleiteが、古代ギリシャ語のγάλακτος gálaktos (γάλα gála「牛乳」の単数属格)に由来することは、一見して判別しがたい例である。このケースでは中間形としてラテン語のlac(や、英語のlacticなどのラテン語由来の語彙)を挟むと繋がりが明瞭になる。 意味が正反対になる同根語もある。例えば、ヘブライ語の חוצפה chutzpahは「無礼」の意味だが、古典アラビア語(Classical Arabic)の حصافة ḥaṣāfahは「健全な判断」となる。また、英語のempathyは「共感」だが、現代ギリシア語のεμπάθεια/empathiaは「悪意」の意味になる。
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