解離 (心理学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/30 14:35 UTC 版)
解離(かいり、英語: Dissociation)とは、無意識的防衛機制の一つであり、ある一連の心理的もしくは行動的過程を、個人のそれ以外の精神活動から隔離してしまう事である[1]。抽象的に表現するならば、感覚、知覚、記憶、思考、意図といった個々の体験の要素が「私の体験」「私の人生」として通常は統合されているはずのもののほつれ、統合性の喪失ということになる[2]。
- ^ 邦題は『ミス・ピーチャム あるいは失われた自己』。なおこの概要は1900年にパリで開かれた国際心理学会において「多重人格の諸問題」というタイトルで発表されている。
- ^ その日本語訳は岡野憲一郎 2009, pp. 291–294 にある。なお以降DESからの引用にはDESでの番号をふる。また文面は要約である。
- ^ 初期には0%から100%までを100mmの直線で表し、そのどこかに印しを付けてもらっていたが、メートル法の物差しが浸透していなかったため、10段階の目盛りに改められた。 その平均値は本来「%」だが、本稿ではこれ以降「点」と呼ぶ。 ロス(Ross,C.A.)が1991年にカナダで行った一般人1,055人の調査では30点未満が95%となった。 カールソン (Carlson,E.B.) とパトナム (Putnam,F.W.) らの1993年の報告では、30点より少ない人の99%は解離性同一性障害ではなく、30点以上の人の17%は解離性同一性障害と診断された。 何点以上は解離性同一性障害というものではない。 また、ほかの精神疾患者にこのテストを行うと中央値は統合失調症では20.6点、PTSDでは31.3点、解離性同一性障害では57.1点だったという。 他の複数の報告でも得点は変わっても傾向は同じである(岡野憲一郎 2009, p. 290)。 ただしPTSDの31.3点は平均であり、実際には得点17点の群と得点が44点と高い群に分かれる(パトナム 1997, p. 94)
- ^ 舛田亮太はDESの正常解離指標 (NDI) とは別に「日常的解離尺度(短縮版)」を作成している。
- ^ 正確には「車を運転したり、地下鉄やバスなどに乗っていて、その行程の間(その一部ないしはすべて)に何が起きたかを全然覚えていないことに急に気がつくという体験をする人がいます。何%の割合でそのようなことがあなたに起きますか?その数字に○をしてください」(岡野憲一郎 2009, p. 291)というような文面であるが、ここでは短縮した。
- ^ 田辺肇 「病的解離性のDES-Taxon簡易判定法」(こころのりんしょう 2009, p. 288)、パトナム 1997, pp. 82–85。その内容は岡野憲一郎 2007, p. 151、およびパトナム (Putnam,F.W.) の著書にある。 ウォーラーがTaxon(類型学的モデル )の方がよく当てはまると、連続体モデルのDESに疑念を表明したのは1995年であり、それがパトナム (Putnam,F.W.) の病理理解が発達論(離散的行動モデル )に傾いた契機となった。
- ^ B.J.Kaplan; V.A.Sadock 『カプラン臨床精神医学テキスト DSM-5診断基準の臨床への展開』(3版)メディカルサイエンスインターナショナル、2016年5月31日、Chapt.12。ISBN 978-4895928526。
- ^ (こころのりんしょう 2009, p. 212) 「Q2 解離とはどのような症状、あるいは現象をいうのでしょうか」回答:田辺肇
- ^ 若林明雄 「解離性障害」『講座臨床心理学』第3巻 p.140
- ^ 野間俊一 「解離研究の歴史」 (こころのりんしょう 2009, pp. 278–279)
- ^ 江口重幸「CharcotとJanetにみられるヒステリーおよび解離の理論」 『精神科臨床リュミエール』 2009 p.30
- ^ 1892-1949., Sullivan, Harry Stack, (1984, ©1972). Personal psychopathology ; early formulations. ([1st ed.] ed.). New York: Norton. ISBN 0393301842. OCLC 13017572
- ^ W., Putnam, Frank; フランク・W.パトナム. (2017). Kairi : jakunenki ni okeru byōri to chiryō. Nakai, Hisao., 中井久夫.. Tōkyō: Misuzushobō. ISBN 9784622086369. OCLC 994854576
- ^ 若林明雄 「解離性障害」『講座臨床心理学』第3巻 p.142
- ^ 岡野憲一郎 2009, pp. 130–131.
- ^ 岡野憲一郎 2009, p. 129.
- ^ Ross, Colin (1997), Dissociative identity disorder : diagnosis, clinical features, and treatment of multiple personality, New York: Wiley, ISBN 0-471-13265-9
- ^ 岡野憲一郎編 2010, p. 3.
- ^ 岡野憲一郎 「解離に関する断章 その13 ヒルガードの実験」
- ^ Hilgard,E.R. (1994). Neodissociation theory. In S. J. Lynn & J. Rhue (Eds.), Dissociation: Clinical and theoretical perspectives (pp. 32–51). New York: Guilford Press.
- ^ 岡野憲一郎編 2010, pp. 1–3.
- ^ 解離性障害のスクリーニングテスト参照
- ^ ジェフリー・スミス2005 p.310
- ^ パトナム 1997, p. 348.
- ^ 岡野憲一郎 2009, p. 97.
- ^ 岡野憲一郎 2007, p. 53.
- 1 解離 (心理学)とは
- 2 解離 (心理学)の概要
- 3 参考文献
「解離 (心理学)」の例文・使い方・用例・文例
- 酸は水素イオンを解離する
- 解離を起こす傾向があるさま
- 肝臓の解離的な変成
- すべてのがイオン化形状の色が解離の前の色と異なっている表示器が弱酸か弱塩基のどちらかであるという理論
- あたかもあなたの精神または魂が離れ、あなたの体を観察していたように、外部視点からあなた自身を観察する解離経験
- スウェーデンの化学者、物理学者で、化学的解離の理論で知られる(1859年−1927年)
- 微少に解離した包葉のある熱帯アメリカのトケイソウ
- 特定の物質が暖められたときのその膨張(しばしば水の解離と同時に起こる)
- 可逆性解離のための均衡定数
- 感情の解離性障害で、自身の私的な現実との接点が失われ、非現実感や違和感を伴う
- 人が、彼らがだれであるかを忘れ、新しい人生を歩むために家を離れる解離性障害
- (熱、放射、化学反応、放電により)イオンに解離している状態
- 酸が解離するとき、陽イオンを形成する酸中の水素原子
- 分子内結合の解離を起こさせるのに必要なエネルギー
- 物質が解離している際,解離した分子数と解離前の全分子数との比
- 1モルの分子を解離させるのに要する熱量
- 気体の原子や分子がイオンに解離すること
- 電解質が溶液中でイオンに解離すること
- 熱によって化合物が解離すること
- 分子を解離する
- 解離 (心理学)のページへのリンク