解剖学的特徴と歩行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 01:45 UTC 版)
「カンピログナトイデス」の記事における「解剖学的特徴と歩行」の解説
同じ地層から産出した同時代のドリグナトゥスに比べると、頭骨は一般に長いままだが鼻先は短くなっておりより軽量な構造になっている。大きな眼窩は頭蓋骨の低い部分・細い頬骨の上方に位置し、このことからカンピログナトイデスは鋭い視覚を持っていた、さらには夜行性でさえあった可能性もあるとする研究者もいる。頭蓋骨の輪郭は比較的高くかつ平らで、眼窩前方でいきなり下方に向かう。鼻先はその最終端でほんの少し上方に向かうほっそりした先端で終わっている。鼻先の大きな部分を長く骨張った鼻孔が占めている。鼻孔の下には三角形をした窓、前眼窩窓が位置している。 よりせまい鼻先を反映して、カンピログナトイデスの歯は細く、著しい異歯性を示すドリグナトゥスのような牙状・犬歯状には全くなっていない。歯は湾曲した円錐形だが広い基部を持っており、内側から斜めに切り落とされたような先端部は鋭利で強力な切断面を形成している。上顎の前顎骨には少し間をあけて4本の歯があり、後方に行くに従って大きさを増し、第4歯が最大となる。その後方の上顎骨には10本の小型の歯がはえており、後ろにいくほど小さい。下顎にはC. liasicus では12-14本の歯が生え、C. zitteli では16-19本の歯がある。よって歯の最大数は66本となる。 ケヴィン・パディアン (Kevin Padian) の研究によれば、8個の頸椎・14個の胸胴椎・4-5個の仙椎・38個の尾椎がある。尾の根本は6個ほどの短い椎骨で可動性が大きいが、その後方では尾椎が伸長し、非常に長い延長部によって固められ、尾に舵としての機能を与えている。 カンピログナトイデスの胸骨は大きな長方形の骨の板であり、cristospinaと呼ばれる前方に向かった小さな突起がある。上腕部は短いが太く、四角形の三角筋稜を持つ。下腕部も同様に短いが、翼長は手掌部の骨のために非常に長い。手掌部の中手骨は短いが、指節骨は基底的翼竜としては非常に長く、第二指節骨が最長である。翼支骨は短く太い。 骨盤についてはあまりよくわかっていない。ある採集家によって1986年にブラウンシュヴァイク頁岩採石場から非常によく保存された骨盤が発見された。BSP 1985 I 87 と番号が付けられたこの骨盤は、ペーター・ヴェルンホファーによると寛骨臼が真横から少し上に向いているので恐竜や鳥類や哺乳類のように脚を直立位置に持ってくることは不可能だった、ということを明らかにしているため、科学上重要な標本である。このことからカンピログナトイデスは後肢のみで歩くことはあまり上手ではなく、四足歩行で歩いていたのであろうとされている。この歩行姿勢は他の嘴口竜亜目(つまり基底的翼竜)でも同様に確認された。しかし、パディアンは2009年に、直立姿勢は足底部を地面に持ってくるために必須であり、四足歩行でも可能であるとしても二足歩行は迅速な歩行のための前提条件である、と述べてその意見に反論した。この問題は現在も大いに議論中である。 脚は短く足底部は小さい。脚の間に翼膜をはるのに使われていたとされることの多い第5趾は、基底的翼竜としては例外的に短い。
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