足底とは? わかりやすく解説

そく‐てい【足底】

読み方:そくてい

あしのうら。「―紋」


足底

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/11 03:04 UTC 版)

足底
ヒトの足底。
概要
上位構造
動脈 内側足底動脈英語版外側足底動脈英語版
神経 内側足底神経英語版外側足底神経英語版
表記・識別
英語 Sole
ラテン語 planta
TA A01.1.00.044
FMA 25000
解剖学用語

足底(そくてい、英語: sole)は、解剖学において足の裏側を指す用語である。足底は歩くときに地面と接する部位であるため全身の重力がかかり、それに耐えるために皮膚が厚くなっている。足の底屈(足を下に動かす動き)を担う4層にわたる筋が存在しており、主に脛骨神経の枝に支配される。

構造

足底の浅層の解剖図。

足底の皮膚はが無く[1]メラニン色素に乏しい[2]という特徴があり、他の身体の皮膚とはやや性質が異なる。また、汗腺が集中して存在するという特徴も有するが、足底には手掌と同様に毛が無いため毛包に開口する皮脂腺は存在しない[1]。足底の皮膚にはしわがあることも見て分かるが、このしわは手掌と同様、発生学的に胎児期のうちから既に確認できる[3]

足底の皮膚は角質により厚くなっている[1]。これは全身の重力が足にかかっており、物理的な刺激に対して耐えられるようにするためである[4]。足底ではかかと中足骨あたりに限局して力が加わりやすいが、これに対応できるように足底では皮下組織も発達している[5]。この皮下組織は外周がコラーゲン性の結合組織で覆われ、内部が線維脂肪組織で構成されている[5]。この皮下組織のそれぞれを区切る隔壁に血管や神経が存在している[5]。足底の特にアーチ状になった土踏まずの辺りには足底腱膜英語版という厚い腱膜が存在している。足底腱膜の中心部は骨を支持しながら内側部と外側部に分岐して伸びている[6]

足底に存在する骨は足弓(そくきゅう、いわゆる土踏まず)を形成している。これにより立っているときや歩いているときに大きく体重が足底にかけられても負荷が分散するようになっている[7]。足弓の構造が加齢により失われると扁平足になり、痛みや歩行障害の原因になる[8]

内在筋

それぞれ足の筋の1層目、2層目、3層目、背側骨間筋、底側骨間筋。

足底の内在筋は4層に分かれる。

第1層はいずれも足底腱膜のすぐ深層に位置している。短趾屈筋は足の中央に存在しており、第2-5趾の屈曲を行う。両側には母趾外転筋小趾外転筋が存在しており、それぞれ母趾・小趾の底屈・外転作用を持つ[6][9]

第2層は足底方形筋が短趾屈筋のすぐ深層に存在しており、長趾屈筋腱に停止している。長趾屈筋腱は足の虫様筋の起始を与える[6][10]

第3層には母趾内転筋が存在し、中足骨底あたりで横走する横頭と足底の中央付近から母趾まで伸びる斜頭に分かれていて母趾の基部で合流する。母趾内転筋の内側には短母趾屈筋の2頭(内側頭・外側頭)があり、長母趾屈筋腱の深層に相当する。かなり小さい短小趾屈筋が外側にあり、骨間筋と混同しうる[6][11]

第4層では背側骨間筋底側骨間筋中足骨の間に存在している。これらは作用的に背側骨間筋が趾の外転、底側骨間筋が趾の内転であるため互いに拮抗筋となっている[6][12]

これらの筋はその停止する位置によって3つのタイプに分類できる。母趾の骨に停止する母趾筋群、小趾の骨に停止する小趾筋群、それ以外の中足筋群がある[12]。母趾筋群の筋は母趾外転筋、母趾内転筋、短母趾屈筋、小趾筋群の筋は小趾外転筋、短小趾屈筋、小趾対立筋、中足筋群の筋は短趾屈筋、足底方形筋、虫様筋、背側骨間筋、底側骨間筋が該当する[13]

外在筋

足の外にある筋のが足底に到達することもある。

神経支配

足底のデルマトーム

足底には神経終末が200000にも及ぶほど多く存在していると考えられており、それにより触覚に対してきわめて感受性が高い[17]。歩いているときの足底と接する表面への感覚やくすぐりなどに敏感であり、ヒトによっては性感帯になり得る[18]

脛骨神経の分枝である内側足底神経英語版外側足底神経英語版が足底の皮膚感覚や筋の運動を主に支配している。内側足底神経は足底の内側(第1趾~第4趾内側半分)とこれらの趾の爪床の皮膚感覚を支配している。母趾外転筋、短母趾屈筋、短趾屈筋、第1虫様筋の運動も支配する[19]。一方で外側足底神経は分枝の浅枝・深枝が足底の外側(第4趾の外側半分~第5趾)とこれらの趾の爪床の皮膚感覚を支配している。足底方形筋や小趾外転筋、短小趾屈筋、第2-4虫様筋、母趾内転筋、背側骨間筋、底側骨間筋の運動も支配する[19]

内側足底神経は総底側趾神経英語版を3本分枝する。外側足底神経も浅枝から総底側趾神経という同名の神経が分枝しており、これらは母趾の内側部と小趾の外側部を除いた[注 1]足底の趾の皮膚感覚を支配する。また、第1虫様筋の運動も支配する[19]。総底側趾神経からは更に固有底側趾神経英語版が分枝しており、趾の足底側以外に趾の足背側の遠位部の感覚も支配する。短母趾屈筋の運動も支配する[19]

内側足底神経や外側足底神経を分枝する脛骨神経には内側踵骨枝英語版という分枝もあり、この分枝はかかとの辺りの皮膚感覚を支配する[20]

大腿神経から分枝した伏在神経英語版は足の内側と下腿内側の感覚を支配する。同様に腓腹神経は足の外側と下腿後面の皮膚の感覚を支配する[19]

血管による栄養

足底は主に後脛骨動脈英語版から分枝した外側足底動脈英語版内側足底動脈英語版により栄養される[21]。後脛骨動脈は内果(内くるぶし)の後ろから足根管という管状の構造に入り[21]、内果と踵のおおよそ中点あたりで外側・内側足底動脈に分枝する[22]。ただし、全ての足底に分布する動脈が後脛骨動脈由来ではなく、前脛骨動脈英語版から分枝した足背動脈英語版の枝も混ざっている。足背動脈は第1・2中足骨の辺りで深足底動脈英語版を分枝し、内側足底動脈と外側足底動脈が吻合した足底動脈弓英語版に混ざる[23]

社会・文化

タイサウジアラビア、また一部のムスリム諸国では足底が見えるように脚を上げながら座る行為が無礼かつタブーとされている[24]カニバリズムが慣習として存在していた地域においては身体の中でも手掌や足底が食べるのに最適な部位とみなされていた[25]。足底は足フェチの対象になりうる[26]

ヒト以外の動物

チンパンジーにおいては足底の方が手掌よりも深くかつ明瞭なしわがある。手掌ではしわの模様が中央部において最も多いが、足底では母趾まわりで模様が多くみられ、残りの大部分の足底はしわの少ない厚くてしっかりとしてかつ滑らかな皮膚で覆われている[27]

ボノボはチンパンジーよりも手掌や足底の模様の密度がかなり高くなっている。類人猿の中では手掌の密度が最も高いが、足底では密度が減少し、他の類人猿に匹敵する[28]

脚注

注釈

  1. ^ 母趾の内側部は内側足底神経から、小趾の外側部は外側足底神経浅枝から直接分枝した固有底側趾神経が感覚を支配する。

出典

  1. ^ a b c Giacomoni, Paolo U.; Mammone, Thomas; Teri, Matthew (2009). “Gender-linked differences in human skin”. Journal of Dermatological Science 55 (3): 144-149. doi:10.1016/j.jdermsci.2009.06.001. PMID 19574028. 
  2. ^ Yamaguchi, Yuji; Morita, Akimichi; Maeda, Akira; Hearing, Vincent J. (2009). “Regulation of skin pigmentation and thickness by Dickkopf 1 (DKK1)”. Journal of Investigative Dermatology Symposium Proceedings 14 (1): 73-75. doi:10.1038/jidsymp.2009.4. PMC 2793095. PMID 19675559. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2793095/. 
  3. ^ Kimura, Sumiko; Tadashi, Kitagawa (1986). “Embryological development of human palmar, plantar, and digital flexion creases”. The Anatomical Record 216 (2): 191-197. doi:10.1002/ar.1092160211. PMID 3777451. 
  4. ^ Hashmi, Farina; Nester, Christopher; Wright, Ciaran; Newton, Veronica; Lam, Sharon (2015). “Characterising the biophysical properties of normal and hyperkeratotic foot skin”. Journal of Foot and Ankle Research 8 (35). doi:10.1186/s13047-015-0092-7. PMC 4533794. PMID 26269720. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4533794/. 
  5. ^ a b c Dalal, Sunit; Widgerow, Alan D.; Evans, Gregory R. D. (2015). “The plantar fat pad and the diabetic foot--a review”. International Wound Journal 12 (6): 636-640. doi:10.1111/iwj.12173. PMC 7950511. PMID 24131727. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7950511/. 
  6. ^ a b c d e Ross & Lamperti 2006, pp. 456–61
  7. ^ 坂井 2017, p. 347.
  8. ^ 坂井 2017, p. 346.
  9. ^ 坂井 2017, pp. 330–331.
  10. ^ 坂井 2017, pp. 331–332.
  11. ^ 坂井 2017, pp. 332–333.
  12. ^ a b 坂井 2017, p. 334.
  13. ^ 坂井 2017, p. 333.
  14. ^ 坂井 2017, p. 326-327.
  15. ^ Ross & Lamperti 2006, pp. 433, 436–37
  16. ^ 坂井 2017, p. 325.
  17. ^ Sternbergh, Adam (2008-04-18). “You Walk Wrong”. NEW YORK (Vox Media). https://nymag.com/health/features/46213/ 2026年1月10日閲覧。. 
  18. ^ Brittan 2003
  19. ^ a b c d e Tank 2006, Nerves of the Sole of the Foot
  20. ^ Lewis, Warren Harmon (1918). Anatomy of the human body (20th ed.). Philadelphia: Lea & Febiger  p.963
  21. ^ a b 坂井 2017, p. 360.
  22. ^ 坂井 2017, p. 361.
  23. ^ 坂井 2017, pp. 360–361.
  24. ^ Lumsden, Lumsden & Weithoff 2009, p. 223
  25. ^ Meek, C. K. (1925). The Northern Tribes of Nigeria. 2. London: Oxford University Press. p. 55. https://archive.org/details/the-northern-tribes-of-nigeria_202208 
  26. ^ Kippen, Cameron (2004年7月). “The History of Footwear – Foot Fetish and Shoe Retifism”. Department of Podiatry, Curtin University. オリジナルの2007年10月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071018035445/http://podiatry.curtin.edu.au/fetish.html 2014年12月10日閲覧。 
  27. ^ Ladygina-Kohts 2002, pp. 29–33
  28. ^ Brehme 1975, Abstract

参考文献

関連項目


足底

出典:『Wiktionary』 (2021/08/13 05:47 UTC 版)

名詞

(そくてい)

  1. 足の裏

関連語

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