こうどう‐かがく〔カウドウクワガク〕【行動科学】
行動科学
行動科学
第二次世界大戦後のシカゴ大学の科学者が、自然科学と社会科学を統合した見方から行動を捉えようとした際に用いられた名称。人間の個人的・集団的行動の一般法則を客観的な観察や調査によって実証しようとする学問であり、心理学、社会学、人類学を中核として、精神医学、コミュニケーション論、情報理論などの領域を含みながら、学際的に発展してきた。
国際保健医療の分野に関連が深いのは「応用行動科学(applied behavioral science)」であろう。人間の対人行動に関する諸理論(対人関係、対人的コミュニケーション、対人的影響過程、集団内行動、リーダーシップ、グループ・ダイナミックス、組織行動など)を応用して、現場で起こっている人間関係的側面の諸問題に働きかけていくものである。アプローチとしてはアクションリサーチのサイクルが用いられる。アクションリサーチの父とされるK.Lewinは、人間関係の改善のための手法としてワークショップ形式で行われるトレーニング(training)を重視した。K.Lewinのこの発想は、彼の弟子たちによって設立された米国NTL Institute for Applied Behavioral Scienceにて、人間関係トレーニング(Human Relations Training、正式名称:ラボラトリー方式の体験学習)として、また、民主的でヒューマニスティックな組織づくりをめざした組織開発(Organization Development)として発展した。(中村和彦)
参考URL:NTL Instituteホームページ http://www.ntl.org/
行動科学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/20 09:51 UTC 版)
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行動科学(こうどうかがく、英語: behavioural science)は、人間の行動を科学的に研究し、その法則性を解明しようとする学問。心理学、社会学、人類学、精神医学などがこれに含まれる[1]。包含する学問分野は社会科学と重なる部分が大きいが、社会科学が社会システムの構造レベルの分析が中心であるのに対し、行動科学では社会内の個体間コミュニケーションや意思決定メカニズムなどに焦点を当てる(例:心理学、社会神経科学)。[要出典]
行動科学に対する諸見解
犬田によって紹介された執筆時点(1970年)当時の行動科学に関する科学者の見解を以下に引用する[2]。
J.G.Miller
ミラーによると、行動科学は、個人として、あるいは社会における人間の理解に寄与する諸分野の結合された努力であり、したがって、そこには次のものが含まれる。
人類学(anthropology)、生化学(bio-chemistry)、生態学(ecology)、経済学(economics)、遺伝学(genetics)、地質学(geography)、歴史学(history)、言語学(linguistics)、数学(mathematics)、神経医学(neurology)、薬学(pharmacology)、生理学(physiology)、政治学(political science)、精神医学(psychiatry)、心理学(psychology)、社会学(sociology)、統計学(statistics)、動物学(zoology)
B.Berelson
一方でベレルソンは、もう少し領域をしぼって、行動科学を、人類学、心理学、社会学の三本の柱で考え、これに社会地理学(social geography)、精神医学の一部、それに経済学と政治学、法学(law)の行動をとりあつかう側面を加える。またこれらを、生理心理学(physiological psychology)、考古学(archaeology)、言語学の一部、形質人類学(physical anthropology)を除く分類であるとしている。
「行動科学の一部として考えられるためには、その領域はつぎの二つの基本的な基準をみたさなければならない。第一に、それは人間行動を取りあつかうものでなければならない。しかし、動物の行動を研究する心理学や、動物学のいくらかの部分は、それが間接的あるいは基礎的なところで、人間行動を目ざしているということで、含まれる。第二にそれは、主題となる事柄を"科学的"に研究しなければならない」
ここで科学的というのは、ベレルソンによれば、次のような条件をみたしていることである。
手続きが公開されている
定義が精密である
データの収集方法が客観的である
諸事実は再現可能でなくてはならない
接近法は組織的で集積的である
C.Wright Mills
ライト・ミルズは「社会的想像力」において、社会科学という用語よりも社会研究(Social Studies)の方が好ましいと思う、とのべたあと、こう言っている。
「"行動科学"の語を用いるのは、まったく不可能である。私は思うのだが、それは"社会科学"と"社会主義"を混同する財団や代議士から、社会調査の資金を獲得してくるための宣伝用の策略のようなものとみられている。……われわれは用語をめぐって闘争するのではなく、用語をつかって議論するのであるから、それはできるだけ議論の余地のないものでなければならない。おそらく"人間科学"human disciplinesという語がよいであろう」
脚注
関連項目
行動科学(School of Behavioral Sciences)
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「リバティ大学」の記事における「行動科学(School of Behavioral Sciences)」の解説
行動科学は、在宅ケア・カウンセリング、カウンセラー養成・家族研究、心理学、ソーシャルワークの4部門に分かれている。同スクールの合格率は38%。学部長はケニオン・C・ナップ。部門ごとのコース数は以下の通り。 部門別・学位別コース数部門名準学士課程学士課程修士課程博士課程在宅ケア・カウンセリング - 28 4 カウンセラー養成・家族研究 - 5 1 心理学 2 14 6 6 ソーシャルワーク - 1 - -
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