脱税の温床
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 05:27 UTC 版)
現職税務署員の証言によると、税務申告の際に大企連を窓口にすれば1000万円の所得が300万円から400万円に、2000万円の所得が500万円から600万円に圧縮され、所得の3分の2が「減免」された。このような例は大阪だけで数千件あったという。この結果、被差別部落と無関係な企業までが大企連に群がり、部落解放同盟の顔役に数百万円の裏金を密かに包んで大企連に入れてもらうようになった。1997年の調査によると、こうした部落外企業は、大企連の支部組織である飛鳥地区企業者組合の中で28.9パーセントを占めていた。関係者によると、中には暴力団のフロント企業や企業舎弟も加盟していたという。 税務当局は、「同和減免」フリーパスを承認しているだけではなく、企業連加盟業者については、たとえ脱税行為があったとしても追及せず、最初から差し押さえ処分を放棄している。その根拠は、大阪国税局が管内税務署の管理・徴収部門の統括官(課長級以上)の幹部に出した「同和速報」第55号(1976年4月6日付)、表題「企連加入業者に対する更正(決定)に係わる管理・徴収部門における事務処理について」である。 通常、収入の不正申告や無申告を発見した場合、税務署は税金の更正・決定処分をおこない、納税者に通知し、そこで納税者が徴税に応じなければ督促状を出し、それでも納めなければ財産の差し押さえ処分をおこなうことになる。 しかし「同和速報」第55号によると、「更正(決定)通知書を企連事務局経由で送達してきたもの」については「督促保留期限」を「70・12・31」(昭和70年12月31日)とコンピュータに入力するよう指示している。すなわち、徴収の時効である5年間を遥かに超える20年間もの長きにわたり「保留」とし、最初から差し押さえを放棄している。また滞納については「別途連絡する」まで「一切整理を行わない」とし、大阪国税局「特別整理部門」が取り扱う1000万円以上の大口納税者についても、各税務署は大阪国税局に報告しないでよいと通達し、脱税を見逃す趣旨となっている。さらに企業連加入業者に対する徴収・滞納処分などの関係書類はすべて「署長室に保管」して一般納税者と区別し、「定期異動の際には的確に事務引き継ぎを行い無用のトラブルが生じないよう注意する」と、極秘扱いにしている。 この文書が「同和速報」第55号(関係統括者まで開示)となっていることからして、税務処理について一般署員の窺い知れない極秘扱いが他にも多数あると考えられている。 部落解放同盟に対するこのような優遇措置は、上田卓三(部落解放同盟大阪府連委員長、社会党衆院議員)が一般の中小企業を対象に1973年に結成した「大阪府中小企業連合会」(中企連)にも適用されていた。たとえば1985年5月10日付の大阪国税局資産税課長補佐名で各統括官あてに出された「特定譲渡事案の提出について」には、この提出書類は「大企連・中企連を除く」とされており、中企連が企業連(大企連)と同じ優遇措置を受けていたことを示している。
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