絹本著色道仏二教諸尊図
主名称: | 絹本著色道仏二教諸尊図 |
指定番号: | 1890 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1989.06.12(平成1.06.12) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 絵画 |
ト書: | |
員数: | 4幅 |
時代区分: | 元 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 各幅に道教と仏教に関係する五躯の諸尊が同じ構図で、雲に乗り降り下る様子で描かれている。第一・二幅は向かって左向き、第三・四幅は右向きで相対し、あるいは本尊となる中幅があったかとも考えられる。 本図は主題、諸尊とも明確でないが、現状からは朝服を著け、通天冠を戴き笏を把り(第一・四幅)、あるいは柄香炉を持つ(第二幅)三人の男神は三官大帝【さんかんだいてい】、木印と岩などを捧持する六臂の神王(第一幅)は天府四聖【てんぶしせい】の天蓬元師【てんぼうげんすい】、日象と月象を指先の湧雲上に示す六臂の神王(第三幅)は斗姥天尊【とろうてんそん】など道教の神々を思わせる。また化仏宝冠を戴き、袈裟を著け、合掌し(第二幅)あるいは白蓮華茎を執る(第三幅)菩薩、宝塔を左手で捧げ持つ毘沙門天【びしやもんてん】(第三幅)、宝棒を両腕にかかえ合掌する韋駄天【いだてん】(第三幅)など仏教の天部が認められる。中国の仏画は往々にして道教的な要素を持つが、本図はいずれかといえば道教が仏教の諸尊を取り込んでいるとみられ、中世における道教画の実状をうかがわせて興味深い。 諸尊はいずれも細い墨線で象形され、その精緻な描写は実に見事である。彩色は概ね薄く、肉身に薄く朱隈を施し、第四幅の忿怒形神王の肉身のみ灰色、怒髪を白であらわす。頭髪は四女神(第一・四幅)のうち三神が墨の上に青色をかけ、二臂と六臂の慈悲相の四尊(第二・三幅)は髪を墨で塗り、髪際に白緑を添え描きし、眉も白緑とする。甲冑・宝冠には細い金泥線を加え、衣、袈裟等には金泥で細かい文様をあしらう。 描写表現は細線描と淡彩でなり、元時代に流行する白描画の作風を伝える。像容は宋風をとどめ、制作年代は元時代も前半に置かれよう。当代流行の白描画道釈図の優れた作品であり、また道仏二教の交流の様を示す遺例として貴重である。 |
絵画: | 絹本著色迦伐蹉尊者像 絹本著色逍遥院実隆像 絹本著色運庵和尚像 絹本著色道仏二教諸尊図 絹本著色道宣律師・元照律師像 絹本著色道宣律師像 絹本著色達磨図 |
- 絹本著色道仏二教諸尊図のページへのリンク