経歴と現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 15:19 UTC 版)
「マイクロドライプリンタ」の記事における「経歴と現状」の解説
最初の製品であるMD-2000は1995年6月に発売されたが、これはカラー印刷600×600dpi、モノクロ印刷600×1200dpiという解像度を持ち、10万円を切る価格設定とともに驚きをもって迎えられた。 モノクロ印刷の解像度は縦方向のスムージング処理によって得られたものだが、公称性能として1000dpi以上の解像度を得たのは、パーソナルプリンターとしてはMD-2000が世界初であったといわれている。当初からアイロンプリントの機能を有しており、アイロンプリント用のキットが存在したほか、アイロンプリント用インクでOHP用フィルムに印刷することもできた(ドライバの改良で、現在は紙用インクで可能)。また熱転写方式という構造を生かし、プリントゴッコのマスター製版を刷ることもでき、ドライバで色分解してフルカラー製版を行える機能もあった。またこうした機能に対応し、シートフィーダー部を水平に倒し、原稿を手差しとすることも可能であった。またアルプス電気独自の規格である「Labeca FREE(ラベカフリー)」対応のシートを用いたラベル印刷も、アルプス電気オリジナルのユーティリティソフト「PRINT STUDIO」によって可能であった(Labeca FREEシートはすでに販売を終了しているが、製造・販売はコクヨとエーワン株式会社が行っていた)。 外装のインダストリアルデザインは米国IDEO社によるもので、後の製品もIDEO社が担当した。MD-2000、2010、2300、4000では扇形を基調とした特徴的なデザインであったが、MD-1000からはキュービックなデザインに変更され、現在に至っている。MD-5000シリーズではiMacカラーをあしらったものもあった。 その後、オプションにより昇華型熱溶融印刷も可能になったほか、カラー印刷でのスムージングや横方向のスムージングができるように改良され、またインクジェットプリンターのようなバリアブル・ドット技術が開発されVDフォトプリンタに発展(現在は在来方式の製品がなくなったためか、単に「VDプリンティング」と称している)、解像度も2400dpi相当に引き上げられた。 カラー印刷はCMYKの四色グラビア印刷が基本で、同時セットできるカセットも4本であったが、VDフォトプリンタでは7本を同時セットできるようになっている。またこれまでどおり、用途に応じて使用するインクの組み合わせを変えることができる。またVDフォトプリンタではメタリック印刷が発展し、「金箔押し」の印刷も可能になっている。 過去には「スキャプリ」と称したイメージスキャナ内蔵の複合機も存在した。フラットベッド型ではなく、FAXなどのように原稿を送り込むドラムスキャナー方式で、MD-4000などがこれにあたる。「スキャプリ」はアルプス電気の登録商標(日本第4224302号・第4868718号)である。 またMD-2000、2010、2300、4000ではDOS/V用の「J」型、Macintosh用の「S」型があり、J型はパラレル(IEEE 1284)接続のESC/P・RGLプリンター、S型はSCSI接続のRGLプリンターであった(後に登場した「Micro Dry RIP」というソフトウェアインタープリタによりAdobe PostScriptに対応)。MD-1000、1300、1500、MD-5000シリーズではJ型を基本とし、Macintoshではアダプターを介してSCSI接続する方法に改められ(MD-1000、1300、1500ではアダプター付属のものをD型と称し、これもMicro Dry RIPによりMacintosh環境でのみPostScriptに対応)、1999年10月発売のMD-5500では、やはりそれまでアダプターを介して行われていたUSB接続が標準となった。 店頭販売からは2000年12月に撤退、ネット直販でMD-5500が販売されていたが、2010年5月末で販売を終了している。修理対応は2015年5月31日、サプライ品の販売は2016年5月31日をもって終了した。このほか、株式会社きもとの製品にマイクロドライプリンタの技術が供与されている(2004年までは沖データ製品MICROLINE 7050cにも、同様に技術供与された)。 またマイクロドライプリンタで開発された技術は、アルプス電気が電子部品のひとつとして製造・供給しているプリンター装置に生かされ、ワープロのプリンター(PhotoPrint技術)や、キヤノンなど他社で発売しているデジタルカメラ写真印刷用の昇華型熱転写プリンター(フォトプリンター)の心臓部に用いられている。 プリンタドライバは、Windows 7では32ビット版のみの対応となっている。
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