箱河豚とは? わかりやすく解説

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はこ‐ふぐ【箱河豚】

読み方:はこふぐ

ハコフグ科海水魚沿岸にすみ、全長30センチ。体は断面四角形体色黄色黄褐色で、各鱗板(りんばん)に青色点がある。本州中部以南分布。《 冬》

フグ目ハコフグ科海水魚総称。体は多数鱗板からなる堅い甲に包まれ横断面四角形ないし五角形箱形腹びれはない。肉・内臓無毒。ハコフグ・ウミスズメなど。


箱河豚

読み方:ハコフグ(hakofugu)

ハコフグ科海水魚

学名 Ostracion cubicus


箱河豚

読み方:ハコフグ(hakofugu)

ハコフグ科海魚箱形カメ甲形模様がある

季節

分類 動物


ハコフグ科

(箱河豚 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/15 00:58 UTC 版)

ハコフグ科
生息年代: 後期白亜紀 - 現世, 70.6 - 0 Ma[1]
Є
O
S
D
C
P
T
J
K
Pg
N
クロハコフグ Ostracion meleagris
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
上科 : ハコフグ上科 Ostracioidea
: ハコフグ科 Ostraciidae
学名
Ostraciidae
Rafinesque, 1810
英名
boxfish
cofferfish
cowfish
trunkfish

ハコフグ科(学名:Ostraciidae)は、フグ目の1つ。全種が海水魚で、6属に約23種が分類されている。

分類と名称

1810年にフランス博物学者であるコンスタンティン・サミュエル・ラフィネスク英語版によって設立された[2]。以前はハコフグ科の範囲はより広く、イトマキフグ科が亜科として含まれていた。最近の系統学的研究では、本科とイトマキフグ科は同じ系統群であるハコフグ亜目英語版の一部であると結論付けられている[3]。フグ亜目のハコフグ上科とする場合もあるが、『Fishes of the World英語版』第5版ではハコフグ亜目に分類されている[4]

学名は基準属であるハコフグ属の学名に由来する。「小さな箱」を意味し、基準種であるミナミハコフグの体の形を示している[5]

下位分類

6属25種が属する[6][7][8]

化石分類群

分布

大西洋インド洋太平洋に分布し[4]、一般的には中緯度海域で見られる。Lactophrys trigonusカナダからも記録されている[9]

特徴

体色は様々で、皮膚は発達した六角形の板状体で覆われる。六角形の板が組み合わさって全身を装甲する硬い甲羅を構成し、全体は三角形、四角形、五角形の箱型となる[10]。各鰭、尾、目、口が突き出ており、ひれをはばたかせるようにしてゆっくりと動くことしか出来ないが、成魚の天敵は少ない。皮膚から毒を分泌し、防御に利用している[11]。成魚は四角い形をしているが、幼魚はより丸みを帯びている。幼魚は成魚よりも体色が明るい。ツノハコフグ英語版は体長50センチメートルに達するが、高緯度地域ではより小さい。歯はフグ科ハリセンボン科マンボウ科ウチワフグ科のように全部が融合してペンチ状の歯板を形成することはない。むしろ同じフグ目のカワハギ科などと同様、くちばし状の吻の先端に状の歯が集まった形状になっている。

産卵形態は多様であり、水面付近で産卵する種もあれば、海底付近で産卵する種もいる。ハーレムを作ってペアで産卵する[12]

毒性

防御のために陽イオン界面活性剤を皮膚から分泌することができる[13]。その一例がパフトキシンである。これは水溶性のある結晶性化学毒素で、クロハコフグなどがストレスを受けた際に皮膚から分泌する粘液に含まれる[14]。パフトキシンは3-アセトキシパルミチン酸の塩化コリンエステルであり[15]棘皮動物に見られるステロイドサポニンに似た働きをする[14]。この有毒な粘液が放出されると、すぐに環境に溶解し、周囲の魚に溶血などの悪影響を及ぼす。この毒素は特定の洗剤に非常によく似ているため、海洋生物の受容体に干渉する可能性がある[16]。水槽内での不用意な刺激によって毒が海水中に放出され、他の魚が死滅することがあり、その毒で自分も死ぬことがある。

一般的にフグ毒として知られるテトロドトキシンは持たない。だが、パリトキシンに類似した毒性物質を体内に蓄積していることがある。これはアオブダイソウシハギなどと同様に、食物連鎖を通じて蓄積されると推測される。この物質はパフトキシンと違い食用部分に存在しており、重篤な中毒を起こす事がある[17]厚生労働省から2002年(平成14年) - 2007年(平成19年)に、このパリトキシン様毒を持つ個体による5件9名、死亡1名の食中毒例が報告されている[18]

人との関わり

焼くと骨板は容易にはがすことができるため、一部の地方では昔から美味として好んで食用にされてきた。例えば長崎県五島列島ではカトッポ(「かどっぽ」とも。五島の方言で魚を「ぼっぽ」と言う)と呼ばれ、焼いて腹部の甲羅をはがしてから味噌薬味を入れ、甲羅の中で身と和える調理法が知られる。元は漁師料理で、現在では観光客らにも提供されている。同地では「を5食べられるほどおいしい」という意味で「ゴンゴブ」と称される。毒を含むことがあるぬめり(後述)を落とすため、皮をタワシなどで洗ってから調理される[19]

食品衛生法に基づく厚生労働省通知(処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグ21種類及び部位)ではハコフグ(ハコフグ科)について肝臓及び卵巣、皮を食べられない部位としている[20]

色も美しく、体型や泳ぎの様子の愛らしさから観賞魚として飼育されることもある。

出典

  1. ^ Sahni, A.; Rana, R. S.; Prasad, G. V. R. (1984-12). “SEM Studies of thin Egg shell fragments from the Inter-trappeans (Cretaceous-Tertiary Transition) of Nagpur and Asifahad, Peninsular India.”. Journal of the Palaeontological Society of India 29 (1): 26–33. doi:10.1177/0971102319840104. ISSN 0552-9360. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0971102319840104. 
  2. ^ Richard van der Laan; William N. Eschmeyer & Ronald Fricke (2014). “Family-group names of recent fishes”. Zootaxa 3882 (2): 1–230. doi:10.11646/zootaxa.3882.1.1. PMID 25543675. https://biotaxa.org/Zootaxa/article/view/zootaxa.3882.1.1/10480. 
  3. ^ Matsuura, K. (2014). “Taxonomy and systematics of tetraodontiform fishes: a review focusing primarily on progress in the period from 1980 to 2014.”. Ichthyological Research 62 (1): 72–113. Bibcode2015IchtR..62...72M. doi:10.1007/s10228-014-0444-5. 
  4. ^ a b Nelson, J.S.; Grande, T.C.; Wilson, M.V.H. (2016). Fishes of the World (5th ed.). Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. pp. 518–526. doi:10.1002/9781119174844. ISBN 978-1-118-34233-6. LCCN 2015-37522. OCLC 951899884. OL 25909650M 
  5. ^ Christopher Scharpf (2024年12月12日). “Order TETRAODONTIFORMES: Families MOLIDAE, BALISTIDAE, MONACANTHIDAE, ARACANIDAE and OSTRACIIDAE”. Christopher Scharpf. 2025年2月8日閲覧。
  6. ^ Santini, Francesco; Sorenson, Laurie; Marcroft, Tina; Dornburg, Alex; Alfaro, Michael E. (2013-01). “A multilocus molecular phylogeny of boxfishes (Aracanidae, Ostraciidae; Tetraodontiformes)”. Molecular Phylogenetics and Evolution 66 (1): 153–160. doi:10.1016/j.ympev.2012.09.022. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S105579031200379X. 
  7. ^ Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2025). "Ostraciidae" in FishBase. february 2025 version.
  8. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Ostraciidae”. researcharchive.calacademy.org. 2025年2月8日閲覧。
  9. ^ Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "lactophrys trigonus" in FishBase. June 2024 version.
  10. ^ 萩原清司 (2018)「ハコフグ科」中坊徹次(編/監修)『小学館の図鑑Z 日本魚類館』p.474、小学館、ISBN 978-4-09-208311-0
  11. ^ Matsuura, K. & Tyler, J.C. (1998). Paxton, J.R. & Eschmeyer, W.N.. eds. Encyclopedia of Fishes. San Diego: Academic Press. pp. 229–230. ISBN 978-0-12-547665-2 
  12. ^ Jack T. Moyer (1979). “三宅島におけるハコフグ科3種の産卵生態”. 魚類学雑誌 26 (2): 148-160. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jji1950/26/2/26_2_148/_article. 
  13. ^ Abdul-Haqq, A. Jonathan; Shier, W. Thomas (1991-01). “Icthyocrinotoxins and Their Potential Use as Shark Repellents” (英語). Journal of Toxicology: Toxin Reviews 10 (3): 289–320. doi:10.3109/15569549109053859. ISSN 0731-3837. https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3109/15569549109053859. 
  14. ^ a b Boylan, D.B. & Scheuer, P.J. (1967). “Pahutoxin: a fish poison”. Science 155 (3758): 52–56. Bibcode1967Sci...155...52B. doi:10.1126/science.155.3758.52. PMID 6015563. 
  15. ^ Pubchem. “palmitic acid - C16H32O2 - PubChem”. 2025年2月8日閲覧。
  16. ^ Kalmanzon, E.; Aknin-Herrman, R.; Rahamim, Y.; Carmeli, S.; Barenholz, Y.; Zlotkin, E. (2001). “Cooperative cocktail in a chemical defence mechanism of a trunkfish”. Cellular & Molecular Biology Letters 6 (4): 971–84. PMID 11753441. 
  17. ^ 谷山茂人; 相良剛史; 西尾幸郎; 黒木亮一; 浅川学; 野口玉雄; 山崎脩平; 高谷智裕 et al. (2009). “ハコフグ類の喫食による食中毒の実態と同魚類の毒性調査”. 食品衛生学雑誌 50 (5): 270–277. doi:10.3358/shokueishi.50.270. ISSN 0015-6426. http://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi/50/5/50_5_270/_article/-char/ja/. 
  18. ^ 厚生労働省統計。「資料3 貝毒以外の海洋性自然毒 p.3 p.21」(会議資料詳細 第8回食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会
  19. ^ 【仰天ゴハン】かっとっぽ(長崎県・上五島)愛嬌者ハコフグの味噌焼き『読売新聞』朝刊2018年12月9日よみほっと(別刷り1面)。
  20. ^ ふぐの内臓は食べられません!! 大分県、2019年10月24日閲覧。

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