クロハコフグとは? わかりやすく解説

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クロハコフグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/01 07:10 UTC 版)

クロハコフグ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
: ハコフグ科 Ostraciidae
: ハコフグ属 Ostracion
: クロハコフグ O. meleagris
学名
Ostracion meleagris
G. Shaw, 1796
シノニム[2]
英名
Spotted boxfish
black boxfish
ornate boxfish
white-spotted boxfish

クロハコフグ(学名:Ostracion meleagris)は、ハコフグ科に分類される魚類の一種[3]インド太平洋に分布し、水深1-30mの岩礁に生息する。

分類と名称

1796年にイギリス博物学者であるジョージ・ショーによって記載され、タイプ産地は南太平洋とされた[4]

属名は「小さな箱」という意味で、タイプ種であるミナミハコフグの体型を示している。種小名はホロホロチョウの種小名であり、幼魚の体にはホロホロチョウの羽毛のように黒白い斑点が散らばっていることを示している[5]

形態

幼魚

背鰭は9軟条から、臀鰭は9軟条から、尾鰭は10軟条から成る[2]。体色には性的二形があり、幼魚と雌は暗褐色から黒色の地に、白い斑点が散らばる。雄は体側面が青色で黄色の斑点が散らばり、甲羅側面の上端は黄色である[6]。角ばった甲羅に覆われており、オットマンに似ていると表現されることもある[7]。体は六角形の骨板が結合した甲羅で覆われ、全体としては楕円形に近い。口、目、鰓、鰭、尾柄のための開口部がある。背中はわずかに丸みを帯びている。腹面には一対の縦方向の隆起があり、底は平らで棘は無い。小さな口は前方に開いており、肉質の唇があり、各顎には15本の中型の歯がある。鰓裂は短く、胸鰭の基部の前にある。臀鰭と背鰭は後方にあり、尾鰭は丸みを帯びている。背鰭には棘が無く、腹鰭を持たない[8]

分布と生息地

東アフリカからメキシコ、北は南日本ハワイ諸島、南はニューカレドニアトゥアモトゥ諸島まで、インド太平洋と東太平洋に広く分布する[1]。日本では主に和歌山県以南の太平洋岸、南西諸島で見られる[9]。オーストラリアでは西オーストラリア州からニューサウスウェールズ州北部まで見られ、珊瑚海クリスマス島タスマン海からも知られている[6]。水深30mまでの沿岸、ラグーンサンゴ礁の外側に生息する[1][2]。幼魚は岩の間やウニの棘の間でも見られる[10]

生態

海綿動物蠕虫ホヤ、その他の小型無脊椎動物を捕食する[11]。午後から夕方にかけて繁殖し、1匹の雄と数匹の雌から成る群れで移動する。雄が1匹の雌を小突いて回り込むことで交尾を開始する。雌が反応すると、彼らは並んで泳ぎながら、底から1.8m以上浮上する。雄は雌をその地点まで導く。尾を合わせて、頭を少し離した状態で並んで泳ぎ続け、精子と卵を放出し、再び一緒に底まで泳ぎ戻る。この時に他の雄の妨害を受け、雄同士が争うこともある。交尾中には約6秒間続く低音のハミング音を発する。雄同士が争う際は、大きなドンドンという音や、短いブンブンという音を出すこともある[12]

人との関わり

商業的な漁獲は行われておらず、地元で消費される程度である[1]。観賞魚として飼育されることもあるが、体表から有毒な粘液を放出して同居する魚を殺してしまうこともあるため、混泳には向かない[8]

出典

  1. ^ a b c d Stiefel, K.M.; Williams, J.T. (2024). Ostracion meleagris. IUCN Red List of Threatened Species 2024: e.T193596A2244898. https://www.iucnredlist.org/species/193596/2244898 2025年3月1日閲覧。. 
  2. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Ostracion meleagris" in FishBase. June 2024 version.
  3. ^ Nelson, J.S.; Grande, T.C.; Wilson, M.V.H. (2016). Fishes of the World (5th ed.). Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. pp. 518–526. doi:10.1002/9781119174844. ISBN 978-1-118-34233-6. LCCN 2015-37522. OCLC 951899884. OL 25909650M 
  4. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Ostracion”. researcharchive.calacademy.org. 2025年3月1日閲覧。
  5. ^ Christopher Scharpf (2024年12月12日). “Order TETRAODONTIFORMES: Families MOLIDAE, BALISTIDAE, MONACANTHIDAE, ARACANIDAE and OSTRACIIDAE”. Christopher Scharpf. 2025年3月1日閲覧。
  6. ^ a b Ostracion meleagris” (英語). fishesofaustralia.net.au. 2025年3月1日閲覧。
  7. ^ Giaimo, Cara (2020年4月15日). “How the World’s Squarest Fish Gets Around”. The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2020/04/15/science/yellow-boxfish-yaw.html#:~:text=This%20suggests%20that%20by%20opening,Boute%20said. 2025年3月1日閲覧。 
  8. ^ a b Spotted Boxfish”. Mexican Fish.com. 2025年3月1日閲覧。
  9. ^ 久保田信 (2008). “和歌山県白浜町"北浜"へ2007年11月に打ち上がった稀少種クロハコフグ(ハコフグ科)”. 漂着物学会誌 6: 20. https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/179171/1/jjds_6_20.pdf. 
  10. ^ admin. “Homepage” (イタリア語). Monaco Nature Encyclopedia. 2025年3月1日閲覧。
  11. ^ Sutton, Alan (2014年10月29日). “White Spotted Boxfish- Facts and Photographs” (英語). Seaunseen. 2025年3月1日閲覧。
  12. ^ hawaiisfishes.com - John Hoover's home page - books, apps & more”. www.hawaiisfishes.com. 2025年3月1日閲覧。

関連項目




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