科学界の見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 20:34 UTC 版)
日本学術会議、日本医師会、日本薬剤師会、日本歯科医師会などが2010年にホメオパシーの有効性を否定する声明を出している。また2010年時点で1割弱の助産師がホメオパシーを使っていたとされる日本助産師会も、日本学術会議の声明に全面的に同意し、以降はホメオパシーを助産業務として使わないように指導している。 2010年8月24日、日本学術会議はホメオパシーに関する会長談話を発表した。声明で会長の金澤一郎(当時)は、 「科学的な医療改革・医学教育からのホメオパシーの排除により、質の高い現代医療が実現した」 「効果があるとする過去の論文は全て誤り」 「治療としての有効性がないことは科学的に証明されている」 「水の記憶などとは荒唐無稽」 「欧米では、非科学的であることを知りつつ信じる人が多いために排除することが困難な状況」 「現段階でホメオパシーを信じる人は(日本国内では)それほど多くないが、医療現場から排除されないと『自然に近い安全で有効な治療という誤解』が広がり、欧米と同様の深刻な事態に陥ることが懸念される」 と指摘。「科学的根拠は明確に否定されており、医療関係者が治療に用いることは厳に慎むべき行為であり、多くの方に是非御理解頂きたい。」とした。また副会長唐木英明(当時)も「(非科学性や無効果である点を)十分理解した上で個人的に使うことは自由だが、科学的に全否定されているものを医療従事者が使うことは、通常医療を遠ざけることにつながり危険。日本学術会議として、『ホメオパシーは効かない』というメッセージを伝えることが重要と考えた」と説明した。 この学術会議会長談話を請け、翌8月25日、日本医師会会長の原中勝征(当時)と日本医学会会長の髙久史麿(当時)が連署のうえ会見を行ない、ホメオパシーへの対応について「日本学術会議の声明を支持し、全面賛同する」旨の見解を示し、ホメオパシーに対して国民への注意喚起を行った。この会見の中で原中は、「ホメオパシーについては,最近いろいろな問題が起きており、新興宗教のように広がりを見せた場合、大きな問題になることへの危機感があった。国民への注意喚起の意味もあり、本日は会見を行うこととした」と発言した。 同じく日本学術会議会長談話をうけ、8月26日日本薬剤師会会長児玉孝(当時)が、日本学術会議会長談話に全面的に賛同する旨の記者会見を行なった。この中で児玉は、「科学的にエビデンスが証明されていない医療類似行為を医療従事者が行うことは、患者の適切な医療を受ける機会を損ない、病状の悪化を招来し、時として死に至らしめる可能性も否定できない」、「医療に携わる者として、安易にこうした行為を行うことは厳に慎むべきである」、「薬剤師の立場から、効能・効果が科学的に確認されていない『医薬品類似物』が医療現場で使用されることは、入手手段の如何にかかわらず極めて重大な問題である」と、医療専門職の薬剤師として医療現場にホメオパシーが入り込むことが危険であると表明した。 日本歯科医師会も日本歯科医学会と共同で8月26日に日本学術会議会長談話に全面的に賛同する旨の声明を出しており、三師会すべて日本学術会議会長談話に全面的支持を表明した事となった。 2014年3月には日本医師会の国民生活安全対策委員会が「医療ネグレクトを生じさせ、適切な受療機会を奪う問題がある」とホメオパシーなどについて注意を促す、2年間にわたり議論した結果をまとめた報告書発表した。 各ホメオパシー団体は一様に反発の態度を示しており、信奉者の中でも光嶋崇などが反発の意思を公言している。ただし、日本ホメオパシー医学会のみは「ホメオパシーの施術者はあくまで医師が行うべき」との立場であるため学術会議の声明を「誤解」としつつも助産師による施術には厳しい批判も行っている。
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