秋田県の被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 09:38 UTC 版)
当時、東北電力能代火力発電所建設のため埋め立て工事中であった能代港では、埋め立ての外枠となるケーソン上で作業中だった作業員や潜水士などが津波に飲み込まれ、35人が死亡する最大の被害が出た。能代港には殉難者慰霊碑が設立されている。 男鹿市の加茂青砂では、遠足で訪れていた北秋田郡合川町(現在の北秋田市)立合川南小学校の児童43人と引率教諭たちが津波に襲われた。多くは漁船や付近の女性などに救出されたが、児童13人が死亡した。遺留品の散乱する現場の空撮映像が全国ニュースで配信されたこともあって、県民や国内はもとより日本国外にも大きな衝撃を与えた。合川南小学校にはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世をはじめ、全世界からメッセージが寄せられた。また、同校では外国人音楽家による無料演奏会も催された。男鹿市立加茂青砂小学校(2001年(平成13年)4月に北陽小学校へ統合され廃校)には、合川南小学校の慰霊碑が建立されている。 男鹿市の男鹿水族館では、観光客のスイス人女性が津波にさらわれて死亡した。その後、記憶に留め慰霊するために水族館駐車場脇に像が建てられた。このほか男鹿では日本海中部地震津波慰霊の碑に波の高さが刻まれている。 漁船が転覆するなどして、能代市・山本郡峰浜村・八森町(現在の八峰町)で漁業関係者10人が死亡した。また、峰浜村では砂丘を乗り越えて押し寄せた津波が海岸線から800メートル奥まで到達して農作業中の3人が死亡したほか、八森町では2人が死亡した。 そのほか磯釣りをしていた10人など県内全体で79人が死亡した。 能代港・秋田港・八森港・男鹿漁港など港湾施設で大きな被害が出たほか、漁船や沿岸部の建築物も大きな被害を受けた。 男鹿市の堤防に関しては、河口付近で途切れる堤防端部の津波ダメージが大きかった。特に河川に面した堤防土台部の石垣の石組みが津波によって崩落・流出する被害が目立った。 男鹿市の砂浜の桟橋に関しては、橋を架けた橋脚がズレたり傾いたりすることで上部構造がズレ落ちる被害(海底の液状化現象)が発生した。
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