私娼とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 社会 > 身分 > > 私娼の意味・解説 

し‐しょう〔‐シヤウ〕【私×娼】

読み方:ししょう

公娼制度認められていた時代に、公認されずに営業し売春婦。⇔公娼


私娼

読み方:ししょう

  1. 私娼の名称、種類多種多様且つ地方的にも色々異つてゐるが概括名称の者には「高等内侍」と呼ぶ特種売笑婦があり。彼等は主に秘密な素人に於て笑ひ売るものである「銘酒屋女」は私娼窟で稼ぐ女のこと「チヤブ屋女」と同じである。之に「デカタ」と「主人デカタ」の別があり、デカタ抱へ女が働くもので、主人デカタ主人自らが稼ぐのである。「瞹昧屋女」「酌婦」などは小料理屋給仕女を表面業としてゐる私娼である。街路歩いて客を物色するものを「引つ張」「連込」といふ、即ち「街娼」で、昔の「夜鷹」今の「ストリートガール」がそれである。新し種類のもので私娼に準ずる物として現今呼ばれてゐるのに、「タツチングガール」「ステツキガール」「円タクガール」「スピーキングガール」等がある。
  2. 夜鷹総嫁などの同類項、辻に立ちて客を引く女の義。

分類 花柳界

隠語大辞典は、明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録しているため、不適切な項目が含れていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

私娼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/03 06:55 UTC 版)

私娼(ししょう)は、娼婦のうち公に営業の許可を与えられた 公娼 こうしょうに対し、公の営業許可を与えられていない者をいう。

日本における私娼

日本における私娼の歴史は、必ずしも明らかではない。奈良時代天平年間(729年 - 749年)に遊行女なるものがあったことが知られ、これを私娼とする向きがある。『万葉集』には、大宰帥大伴卿が都に上るときに卿に侍した遊行女、児島の、「やまと路は雲かくれたりしかれどもわがふる袖をながしと思ふな」という歌もある。のちに娼婦は遊行女のほかに、白拍子遊女、傾城、傀儡子などに分かれたが、鎌倉時代は遊女と呼ばれるようになった。

それまでは売春はいわば自由業で、取締などが行われた形跡がみえないが、建久4年5月15日(1193年)に、遊女屋および遊女を取り締まるために、源頼朝里見義成を遊女別当に命じ、諸国に散在する娼婦の訴願を取り裁かせたことが史実に見える(『吾妻鏡』)。

足利氏室町幕府)は大永8年(1528年)、傾城局をもうけ、竹内新次郎を公事に任じ、娼婦から税金を徴収した。

豊臣時代天正15年(1587年)、京都柳の馬場に遊廓が設けられ、ここに公娼の営業形態が散娼から集娼へと改められはじめた。

江戸時代、麹町道三町、麹町八丁目、神田鎌倉海岸、京橋柳橋に遊女屋が営まれた。江戸幕府は、散在する遊女屋を特定地域に集合させるために、元和3年(1617年)、日本橋葺屋町界隈に遊郭の設置を許可し、ここを「吉原」と命名した。ここに、公娼と私娼とを区別する公法上の体制が整った。吉原遊廓のほかで売春を行う娼婦を淫売女と称し、要するに公許の場所以外で売春を行う娼婦は私娼である。文久元年(1861年3月16日、幕府は江戸および関東八州の宿屋料理屋などに対し、私娼を置くことを禁止した[1]


明治時代以降の私娼

明治維新ののち、1873年明治6年)12月、公娼取締規則が施行された。ここに警保寮から貸座敷渡世規則と娼妓渡世規則が発令された。娼妓以外で売春をなす者は取締り、処罰された。臨時的娼婦はもちろんのこと、職業的娼婦であっても、娼妓でなければ私娼である。1876年(明治9年)1月27日東京警視庁は、売淫罰則をさだめた[2]


銘酒屋の酌婦

大正期になると銘酒屋といわれる私娼宿が都市部を中心に増加し、俗に「私娼窟」と呼ばれて栄えた。主な客層は学生や工場労働者といった低所得者層で、それらが集まる東京で私娼窟が活性化した。東京で最も大きな私娼窟は浅草千束町の私娼窟で、これは公娼である吉原遊郭や浅草の歓楽街のすぐ近くに位置した。そこで酌婦として働いた女性は、公娼である娼妓よりも若年の者や様々な事情から公娼になることができなかった女性が多くいた[3]1916年には警視庁保安部長の丸山鶴吉の指揮のもと、「私娼撲滅策」といわれる私娼の大検挙が行われた。1923年の関東大震災後には郊外の玉の井亀戸へ移転し、警察からは黙認されることとなった。この時、警視総監に昇進していた丸山鶴吉が1916年の私娼撲滅は失敗であり、その経験から私娼を完全に淘汰することは不可能であると認識し、黙認するに至ったと公言した[4]。そして以前から私娼として黙認されていた芸者とともに酌婦は警察から規制を受ける代わりに売春を黙認される準公娼となった[4]。黙認後の私娼窟の様子は永井荷風『断腸亭日乗』や、今和次郎考現学に記録されており、戦前は非常な賑わいをみせたとされている。

関東近郊では東京のほか公娼廃止を1885年に実施した群馬県に銘酒屋の酌婦が多く存在し、ついで1930年に公娼を廃止した埼玉県に多かったとされる。これらの府県では、東京の遊郭花街身売りすることができなかった女性も多く流れていたとされる[5]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 法令全書
  2. ^ 警視庁史 警視庁史編さん委員会編
  3. ^ 寺澤優 (2014). “東京府の二大私娼窟形成に見る近代日本の売買春と管理体制”. 日本史研究 626. 
  4. ^ a b 寺澤優 『戦前日本の私娼・性風俗産業と大衆社会』有志舎、2022年、75-85頁。 
  5. ^ 寺澤優 『戦前日本の私娼・性風俗産業と大衆社会』有志舎、2022年、128−139頁。 

関連項目

参考文献

寺澤優『戦前日本の私娼・性風俗産業と大衆社会 売買春と恋愛の近現代史』有志舎、2022年 ISBN978-4-908672-61-3


「私娼」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



私娼と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「私娼」の関連用語


2
100% |||||

3
私娼窟 デジタル大辞泉
100% |||||

4
100% |||||

5
96% |||||

6
96% |||||

7
96% |||||


9
96% |||||


私娼のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



私娼のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
皓星社皓星社
Copyright (C) 2025 株式会社皓星社 All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの私娼 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS