目的・基本的理念等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 09:20 UTC 版)
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の記事における「目的・基本的理念等」の解説
この法律は、育児休業及び介護休業に関する制度並びに子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を設けるとともに、子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めるほか、子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする(第1条)。 子の養育のために育児休業をするか否か、家族の介護のために介護休業をするか否か、子の看護のために看護休暇を取得するか否か、家族の介護その他の世話を行うために介護休暇を取得するか否か、また、事業主が講ずる所定労働時間の短縮等の措置を利用するか否かは、労働者自身の選択に任せられている(平成28年8月2日職発0802第1号、雇児発0802第3号)。 この法律の規定による子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉の増進は、これらの者がそれぞれ職業生活の全期間を通じてその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むとともに、育児又は介護について家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるようにすることをその本旨とする(第3条1項)。また、子の養育又は家族の介護を行うための休業をする労働者は、その休業後における就業を円滑に行うことができるよう必要な努力をするようにしなければならない(第3条2項)。 第1項は、第1条の目的規定の「職業生活と家庭生活との両立」の内容を具体的に明らかにしたものであり、法による子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉の増進の基本的理念が、この「職業生活と家庭生活との両立」にあることを明らかにしたものである。「職業生活の全期間を通じて」とあるのは、一時期職業生活から離れて家庭生活のみを送っていても、再び充実した職業生活を送ることとなるような場合も「職業生活と家庭生活との両立」に含める趣旨である。 第2項は、子の養育又は家族の介護を行うための休業をする労働者は、その休業の趣旨が本人の雇用の継続のためであること、そのために事業主その他の関係者も本人の休業に配慮するものであること等にかんがみ、当該趣旨を没却させないよう、休業後の職場復帰に備えて心づもりをしておくべきであることを明らかにしたものである。また、この規定は、労働者に対して法的に具体的義務を課すというものではなく、訓示規定である(平成28年8月2日職発0802第1号、雇児発0802第3号)。 事業主並びに国及び地方公共団体は、第3条に規定する基本的理念に従って、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉を増進するように努めなければならない(第4条)。 本条に関する事業主の具体的義務の内容としては、第2章から第9章までに規定されているが、それ以外のことについても配慮すべきであることを明らかにした訓示規定であり、本条によって事業主に対して法的に具体的義務を課すというものではない(平成28年8月2日職発0802第1号、雇児発0802第3号)。 厚生労働大臣は、第21条~第27条の規定に基づき事業主が講ずべき措置及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべきその他の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るための指針となるべき事項を定め、これを公表するものとする(第28条)。これに基づき、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(最終改正・平成28年厚生労働省告示第313号)が告示されている。厚生労働大臣は、指針を策定しようとするとき、その他この法律の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない(第57条)。 厚生労働大臣(厚生労働大臣が全国的に重要であると認めた事案に係るものを除き、事業主の事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に委任)は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。厚生労働大臣は、第6条1項(第12条2項、第16条の3第2項及び第16条の6第2項において準用する場合を含む。)、第10条(第16条、第16条の4及び第16条の7において準用する場合を含む。)、第12条1項、第16条の3第1項、第16条の6第1項、第16条の8第1項(第16条の9第1項において準用する場合を含む。)、第16条の10、第17条1項(第18条1項において準用する場合を含む。)、第18条の2、第19条1項(第20条1項において準用する場合を含む。)、第20条の2、第23条1項~3項、第23条の2、第25条、第26条又は第52条の4第2項(第52条の5第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反している事業主に対し、この勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる(第56条、第56条の2、施行規則第85条)。
※この「目的・基本的理念等」の解説は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の解説の一部です。
「目的・基本的理念等」を含む「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の記事については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の概要を参照ください。
- 目的基本的理念等のページへのリンク