白人至上主義者の性的指向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 09:18 UTC 版)
「白人至上主義」の記事における「白人至上主義者の性的指向」の解説
『ニューヨーク・タイムズ』の「オルタナ右翼のアジア系フェティッシュ」という記事によると、黒人男性ジョージ・フロイド死亡事件の加害者であるデレク・ショーヴィンの妻がモン (Hmong) 系アメリカ人(英語版)だったように、「白人男性のナショナリストは、アジア系女性を(性的に)好む傾向がある」という。 『デイリー・ストーマー』創設者のアンドリュー・アングリン(英語版)、国家政策研究所(英語版)所長のリチャード・B・スペンサー、オルタナ右翼のソーシャルメディアパーソナリティであるマイク・セルノヴィッチなどはアジア系女性と交際・結婚している。特に、リチャード・B・スペンサーは「アジア系には何かがある。可愛いし、頭もいいしね」と述べており、白人がそれ以外の人種より優れているとして、非白人の排斥を叫ぶ白人至上主義者が「アジア系女性を好む」のは奇妙であるが、『ニューヨーク・タイムズ』によると「そこに矛盾はない」という。 その理由をアジア系といえば「よく働き」「向上心があり」「表面的には白人主流のアメリカ社会に同化しようと努めている」モデル・マイノリティ(英語版)というステレオタイプであり、「このアジア系のモデル・マイノリティ(英語版)俗説によって、白人ナショナリストから受け入れられやすくなっているのかもしれない」という。 さらに、アジア系女性は「従順かつ寡黙」「(男性に性的快楽を与える意味で)性欲旺盛」であるというステレオタイプであり、「白人ナショナリストらは、こうした2つの俗説を混ぜこぜにして」おり、こうしたステレオタイプは「極右のミソジニーや反フェミニストの価値観にも一致」し、「(アメリカ育ちの)白人女性はフェミニストになりすぎた」、一方でアジア系女性は「性的にも男性に尽くす傾向があり、比較的小柄かつスリムで、色白」「女性らしさについての(昔ながらの)西洋的な規範に合うもの」であるから、アジア系女性を選ぶ白人至上主義者が少なくないのではないかと述べている。さらに『ザ・リリー(英語版)』は、アジア系女性に対するステレオタイプとして「子どもへの教育熱心、成功への執着、家族全体が繁栄することへの積極性」を挙げており、白人至上主義者がアジア系女性を「性的であると同時に、結婚相手としても理想的」と見る傾向があるとしている。 2015年にチャールストン教会銃撃事件を起こした白人至上主義者のディラン・ルーフ(英語版)は、犯行声明文で「東アジアの民族を尊敬する」「東アジア系は他の民族を差別するので、我々白人との良き同盟が築けそうだ」と述べており、白人至上主義者には、アジアを賞賛する者が少なくなく、『バイス(雑誌)(英語版)』は、白人至上主義者は「特に日本が好き」であり、それは「白人至上主義者は日本を『単一民族のユートピア』として見ているから」であり、『Plan A Magazine』は、「アジア、特に日本は、社会的および政治的な保守主義によって守られている長い伝統があるから」だと説明している。 白人至上主義者によるアジア礼賛をたどっていくと、アドルフ・ヒトラーに行き着き、ヒトラーは1945年に「私は中国人や日本人を、自分たちより劣っているとみなしたことはない。彼らの古代文明しかり、その歴史は私たちドイツ人のものより優れていると私は認めている」と語っており、『バイス(雑誌)(英語版)』は、「現代の白人至上主義者たちは、ヒトラーのアジア偏愛にさらなる独自解釈を加えて作り上げた、全く別の虚像に心酔している」と報じている。 白人の求める日本人像はステレオタイプな東洋人である傾向で、なぜ日本のアニメキャラが白人風なのかという要求もあり、釣り目で描かれたセーラームーンが称賛されたこともあった。しかしこれにはむしろ日本人からの反発があり、日独ハーフのサンドラ・ヘフェリンはそうした発想は「日本人にはこうあってほしい」という欧米人の歪んだ願望であると述べている。
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