男性調理師の死亡診断書
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2018年4月に保険適用が始まったマイトラクリップを使う手術を、医薬品医療機器総合機構の基準では手術が禁じられている41歳の男性調理師に対して2018年9月21日に行った。心房中隔穿刺が出来なかったため手術は中断した。そして、間違った場所を焼灼したことによって生じたと考えられる肺の気胸を翌日の血痰時まで見逃した。手術から4日後の未明には深刻な不整脈が発生し、その翌日午前には心肺停止状態となった。 母親には医療ミスで病状が悪化した可能性は伝えられず、延命治療の選択肢も示されなかった。一度回復基調になったものの、手術から16日後に男性調理師は敗血症性ショックで死亡した。死亡当日に作成された死亡診断書の死因欄には「病死及び自然死」と記載され、手術の有無については「無」と記載された。男性調理師は解剖されずに火葬された。 2018年10月19日の症例検討会では、心房中隔穿刺を行った時間帯の画像が提示されず、麻酔科の点滴ミスのせいで肺に穴が開いたと循環器内科は主張し、会議は紛糾した。その後の東京大学医学部附属病院の幹部会議で、医療法で定められている医療事故調査委員会への報告を行わない方針となった。 内部告発が東京都福祉保健局と大手マスコミに対してなされ、ワセダクロニクルによって2018年11月26日に、この件の調査報道が始まった。他のメディアも追随して報道を行い、虚偽診断書等作成罪や業務上過失致死傷罪の可能性などが指摘された。東京都庁は2018年12月に立入調査を行い、検証が終わるまでマイトラクリップ手術を中止するよう指導した。 2018年12月5日に、尾辻かな子衆議院議員が質問主意書を内閣に提出した。2018年12月6日に足立信也参議院議員が参議院の厚生労働委員会において東京大学病院の特定機能病院指定取消の可能性に言及した。公明党の加納重雄横浜市議会議員は、この事件を受けて、小室が成立に寄与した脳卒中・循環器病対策基本法に関して、公式サイトで懸念を表明した。 尚、手術に踏み切ったことについては理解を示す声もあった。また、手術の合併症としては、通常起こり得るものであったため、医療事故調査委員会への報告は不要との意見もあった。一方、患者への説明責任を放棄しミスを隠蔽したことは、医療事故対応を処罰感情に基づく責任追及型から、世界標準の再発防止型へパラダイムシフトさせるために、関係者が何年もエネルギーを注いで行ってきた努力を無にするものであるとする意見があった。 2020年3月23日に、東大病院は、医療事故調査制度に則り日本医療安全調査機構に医療事故調査委員会報告書を提出したことを公開した。調査は外部の専門家を加えて行われたとしている。
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