現在の生命の樹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/04 04:03 UTC 版)
「生命の樹 (工芸品)」の記事における「現在の生命の樹」の解説
現在生命の樹が主に生産されているのは、メヒコ州のメテペック、プエブラ州のイスカル・デ・マタモロスとアカトラン・デ・オソリオ(英語版)の3つの地域である。かつては妊娠や富の象徴として新婚夫婦にプレゼントされる習慣があった。現在最も生産が盛んな地域はメテペックで、職人たちは中国、日本、フランス、イタリア、ドイツ、スペインといった外国からも発注を受けている。この中でもスペインへの輸出が最大である。有名なメテペックの職人としてはArchundia、Tito Reyes、Modesta Fernandez、Macario Garduno、Paz Lopez、Claudio Tapia、Timoteo Gonzalez、Celso Rodriguez、Jose Sanchez de Leon、Lazaro、Manuel Leonらが挙げられる。メテペック市当局は伝統を守るために陶芸やセラミック加工技術の講座を後援している。 しかし現在職人は減少傾向で、消滅の危機にある。例えばメテペックのコモンフォルト通りでは多くの職人が製陶業を営んでいるが、この中で生命の樹を生産しているのはわずかに2店舗である。職人減少の最も大きな要因は、主にアジアからの安価な模造品の流入である。メキシコの職人たちにとってこれは致命的な問題であり、メキシコ政府は伝統工芸品の商標登録と原産地呼称に乗り出した。2009年には生命の樹はメテペックとその隣のカリマヤ(英語版)の職人たちの商標として登録され、生命の樹生産に従事するおよそ300世帯がこの恩恵を受けることになった。また、これに加えて生命の樹のトレードマークを作ることも検討されている。 メキシコでは優れた陶器作品を選出するConcurso Nacional de Alfareria y Ceramica(国立陶器・セラミックコンクール)が行われていて、毎年生命の樹(Árbol de la vida)も出品される。生命の樹以外にもオアハカ州、ハリスコ州、グアナフアト州など、メキシコ各地から陶器作品が出品されるが、その中でもメヒコ州から最も多く出品される。コンクールは焼成しないもの、低温焼成、高温焼成、琺瑯と、部門別に審査される。ここでは毎年メキシコ各地の原住民コミュニティの代表者が集まり人間による「生命の樹」をつくる。2006年には63のコミュニティから民族衣装を着た500人が集まって人間ピラミッドをつくり、世界平和を訴えた。サポテコ族、ワステカ族(英語版)、タラスコ族、マヤ族、オトミ族、タラウマラ族、ウイチョル族、ヤキ族(英語版)などからも代表者が集まった。 Explanada Artesanal(職人広場の意)など、似たような試みのイベントは他にも行われているが、繁盛しているものは少ない。Explanada Artesanalでは本物の民族工芸品が販売されているにもかかわらず、会場が汚い上に照明も暗く、訪れる人は少ない。このイベントはメテペックのイダルゴ通りで開催され、地元で作られた粘土・セラミック製品を販売する95の店舗が集まるが、来場者が少ないために週末しか営業されていない。サービスの拡充や広告宣伝など、自治体による支援が不十分という販売業者もいる。
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