版画作品とは? わかりやすく解説

版画作品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 00:07 UTC 版)

ラファエロのカルトン」の記事における「版画作品」の解説

16世紀初頭には、盛期ルネサンス洗礼浴びて十分な技量を身につけていたイタリア芸術家たちは、当時高く評価されていたドイツ人芸術家アルブレヒト・デューラー版画技法学び始めたラファエロには版画技法知識はなく、あいつぐ美術作品制作依頼追われ版画技法を学ぶ時間もなかった。しかしながらラファエロは、版画家マルカントニオ・ライモンディ (en:Marcantonio Raimondi) とその工房との協業自身絵画作品版画として広く流通させることによって、当時イタリアにおいて絵画作品評価高めることにもっとも成功した画家となったラファエロ多く版画専用ドローイング描き版画工房がそのドローイングをもとに版画大量に生産したまた、制作され版画はつねにドローイングをもとにしてもので、ラファエロヴァチカンなどの依頼描いた絵画作品として完成成立したものから版画制作されることはなかった。ラファエロドローイングによる版画広く複製され複数出版業者から大量に発行されることが多く、これらの版画作品は短期間のうちにヨーロッパ中に広まることとなったラファエロ描いたシスティーナ礼拝堂タペストリのデザインをもとにした版画で、記録に残る最古作品はアゴスティーノ・ヴェネツィアーノ (en:Agostino Veneziano) が1516年制作した『アナニアの懲罰』である。この版画はおそらくタペストリ完成する以前制作され作品だとされている。カルトン左右逆に織られているタペストリとは異なり、この版画では左右向きカルトン同じになっている。版画作品の制作過程において、通常であれば原画完成した版画左右逆向きになる。おそらくこの版画は『ラファエロのカルトン』の『アナニアの懲罰ではなくカルトン同じくロイヤル・コレクション所蔵している、『ラファエロのカルトン』の制作下絵としてチョーク描かれた「アナニアの懲罰」のドローイングをもとにしていると考えられている。この下絵は『ラファエロのカルトン』の『アナニアの懲罰』とは左右逆になっているのであるラファエロ存命中にライモンディヴェネツィアーノ制作したラファエロ作品をもとにした版画作品はすべてドローイングをもとにしている。ライモンディは『ラファエロのカルトン』のドローイングをもとにした版画作品のすべてを、1516年ごろに完成させた。ローマ芸術家たちの多くは、システィーナ礼拝堂タペストリ完成する以前版画通じてラファエロのカルトン』を目にしていたのであるヴェネツィアーノ版画についてもすぐにいくつかの複製作られた。それらの複製版画のうちもっとも有名なものが、ウーゴ・ダ・カルピ (en:Ugo da Carpi) が1518年制作した多版四色刷り版画である。このダ・カルピの版画著作権標記なされた初期芸術作品として研究の対象となることがある作品下部著作権主張するラテン語文章があり、この版画ヴェネツィア共和国ローマ教皇庁からの特別の許諾得ており、もしこれを侵すものがあれば教皇庁から破門され恐れがある旨が記述されている。『ラファエロのカルトン』からの複製され版画多くライモンディオリジナルからの単純なコピーだったが、パルミジャニーノラファエロオリジナルをもとにした版画1530年自身制作している。 17世紀ドイツ人版画家マテウス・メーリアン聖書エピソード版画にしたエングレービング集では『ラファエロのカルトン』の構成が、やや強調されたより精緻な表現となって再現されている。このエングレービング多く書物引用複製されラファエロデザインがさらに多く人々目に触れることとなったイングランド護国卿クロムウェルによってロイヤル・コレクションから売り払われた『ラファエロのカルトン』は17世紀後半イングランドへ戻された。版画家たちはドローイングからではなく絵画作品から直接版画制作することが主流となっていった。18世紀には『ラファエロのカルトン』からのさまざまなヴァージョン版画流通しており、それぞの再現度品質の面でもまた多種多様であった

※この「版画作品」の解説は、「ラファエロのカルトン」の解説の一部です。
「版画作品」を含む「ラファエロのカルトン」の記事については、「ラファエロのカルトン」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「版画作品」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「版画作品」の関連用語

版画作品のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



版画作品のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのラファエロのカルトン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS