燐脂質とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 化学物質 > 脂質 > 燐脂質の意味・解説 

りん‐ししつ【×燐脂質】

読み方:りんししつ

phospholipid複合脂質一つ分子内に燐酸基をもち、脂肪酸グリセリンまたはアミノアルコールなどを含む。細胞膜核膜などを構成する基本物質ホスファチド


リン脂質

(燐脂質 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 09:41 UTC 版)

リン脂質(リンししつ、Phospholipid)は、構造中にリン酸エステル部位をもつ脂質の総称。両親媒性を持ち、脂質二重層を形成して糖脂質コレステロールと共に細胞膜の主要な構成成分となるほか、生体内でのシグナル伝達にも関わる。

リン脂質の1種、ホスファチジルコリン(レシチン)の構造式。2つの脂肪酸オレイン酸パルミチン酸)・グリセリンリン酸コリンが複合した構造をもつ。

構造

一般的なリン脂質は、 グリセリンスフィンゴシンを中心骨格として脂肪酸リン酸が結合し、さらにリン酸にアルコールエステル結合した構造をもつ。 アルコールには通常何らかの形で窒素が含まれる。脂肪酸やアルコールには様々な分子種があるため、組み合わせによってきわめて多くの種類が存在する。

リン酸は3価のであるため、3つのヒドロキシル基のうち2箇所が骨格ならびにアルコールとエステル結合を形成しても、残り1か所は電離してアニオンが生じる。構造中に疎水性の脂肪酸エステル部位と親水性のリン酸アニオン部位が共存するために、リン脂質は界面活性剤のような両親媒性を示し、水中では外側に親水性部を向けて疎水性部同士が集まることでベシクル状の安定な脂質二重層を形成する。

分類

グリセリン

リン脂質は、大きく分けてグリセリンを骨格とするグリセロリン脂質と、スフィンゴシンを骨格とするスフィンゴリン脂質の2つが存在する。

グリセリンのC1、C2位に脂肪酸が、C3位にリン酸がそれぞれエステル結合した分子をホスファチジン酸、ホスファチジン酸からC2位の脂肪酸が外れた分子をリゾホスファチジン酸という。C1には飽和脂肪酸が、C2位には不飽和脂肪酸が結合している場合が多い。古細菌の細胞膜では、脂肪酸がエステル結合でなくエーテル結合をしたエーテル型脂質も存在している[1]。アルコールの種類としてはコリンエタノールアミンイノシトールセリン・グリセリンなどを取りうる。

スフィンゴシン

スフィンゴシンはパルミチン酸セリンから合成される物質で、グリセリンのC2位のヒドロキシ基がアミノ基で置き換わり、さらにC1位に長鎖アルキル基が結合した構造を持つ。このため、C2位は脂肪酸とアミド結合を形成する。スフィンゴリン脂質としてはスフィンゴミエリンが知られる。

生合成経路

グリセロリン脂質では、まずアルコールがキナーゼアデノシン三リン酸 (ATP) によってリン酸エステル化される。次にシチジン二リン酸 (CTP) と反応し、活性アルコールとなる。これが1,2-ジグリセリドと反応することによって、グリセロリン脂質が生成する。ホスファチジルセリンはホスファチジルエタノールアミンのメチル化によっても生じる[2]

スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン)は、以前は スフィンゴシンのアミノ基がアセチルCoAによってアセチル化されてセラミドが生じ、次にヒドロキシル基がCTPによって活性化されたコリンと反応してスフィンゴミエリンが生成するものと考えられていた。しかし、現在では中間生成物としてスフィンゴシンを経由しない経路が提唱されている[3][4]

役割

リン脂質は自己組織化によって脂質二重層を形成し、細胞膜の主要な構成要素となる他、細胞膜内外の物質移動に用いられる小さな脂質ベシクル(リポソーム)を形成する。脂質二重層は浸透性があり、柔軟で、流体のような特性をもつため、中のリン脂質やタンパク質は面内方向に比較的自由に動くことができる。

また、リン脂質がホスホリパーゼA2などの酵素によって分解されて生じるホスファチジン酸リゾホスファチジン酸、あるいはアラキドン酸などの各種脂肪酸は、シグナル伝達において重要な役割を担っていることが明らかにされつつある[5]

主なリン脂質

出典

関連人物

関連項目

参考文献


「燐脂質」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



燐脂質と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「燐脂質」の関連用語

1
ホスファチド デジタル大辞泉
100% |||||

2
エー‐ピー‐エス デジタル大辞泉
100% |||||

3
ケファリン デジタル大辞泉
96% |||||

4
レシチン デジタル大辞泉
74% |||||

5
細胞膜 デジタル大辞泉
74% |||||

6
脂質 デジタル大辞泉
74% |||||

7
複合脂質 デジタル大辞泉
74% |||||




燐脂質のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



燐脂質のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのリン脂質 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS