法的地位と追加権限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/12 09:54 UTC 版)
「コーンウォール公領」の記事における「法的地位と追加権限」の解説
コーンウォール公領には、1399年より英国君主が個人的に保持するおよびランカスター公領とともに、他の土地不動産では行使できない特別な法的権利がある。例えば、無主物(所有者のない財産)に及ぶ支配権では英国王室よりも公領保有者が優越し、遺言や識別できる相続人なしにコーンウォールで死亡した人の財産およびコーンウォールに事務所登記された解散企業に属する資産は公領へと移行される。 2007年、無主物の権利から生じた13万ポンドが慈善基金に与えられた。公爵はコーンウォールにある海岸の約60%と航行可能な河川の「川底」や河床の自由保有権(freehold)を有しており、沖合に浮かぶものを含めコーンウォールの海岸で難破した全ての船舶、そして英国王室の魚(クジラ、ネズミイルカ、チョウザメ)を接収する権利を有する。コーンウォール公領はセントメアリー港(シリー諸島最大の島にある港)の港湾当局である。この公領のために別の法務長官がいる。コーンウォールの執政長官は、イングランドやウェールズの他の州とは対照的に、英国君主ではなくコーンウォール公爵によって任命される。同公爵はコーンウォールのスズ鉱山議会 (Cornish Stannary Parliament) を招集する儀式的役割を果たしていた。 ブルートン対ICOの第一審は、この公領が2004年環境情報規定(Environmental Information Regulations 2004)の目的を果たす公的機関だと判断した。ガーディアン紙は2011年、コーンウォール公領の利益に影響を及ぼす可能性があるためチャールズ王太子が都市計画からギャンブルに至る様々な法案に同意を与えるよう2005年以降依頼されていると報じた。セント・アイヴスの自由民主党議員アンドリュー・ジョージは「この公領は単なる私有地と主張している。それが政府に対して効果的な拒否権を持っているようだと分かれば、大部分の人は驚くであろう」と述べた。デビッド・ゴランツ弁護士はガーディアン紙への執筆で「この公領は独自範囲の法的権限を行使しており、それは他の場所だと英国王室にのみ認められているものである。[中略] 法律によって創設および授与され、相当な法的権限を行使しているこうした巨大不動産が、私有地を名乗ることで公の監査から逃れることができてしまっていることは異例であり、懸念している」と述べた。ただ、コーンウォール公領の利益に影響を与える可能性のある法案に対する公爵の拒否権はチャールズ王太子に新たに付与されたものではなく、数世紀にわたって続けられてきた議会慣行である。 一部のコーンウォール市民活動家によると、コーンウォール自体が普通のカウンティとは対照的に公領として法令名目上記述されており、公領不動産はその公領自体と区別されながらも、それ自体が「前述の公領」と併合されたり結びついているという。1973年に王立憲法委員会は、英国王室とこのカウンティとの「特別な関係」を理由に、「適切な場合」にはコーンウォールを「公領」と呼ぶよう勧告した。この指定は、非公式な場だとたまにカウンティ全体に関して使われることもある。 歴史的にコーンウォールを訪れた巡回裁判 (Assizes) の裁判官の全員が、コーンウォール公領を監督して同公爵に助言するプリンス・カウンシルの常任メンバーでもあった。公爵が配下の役人に大法官裁判所によって発布された命令を無視するよう指示することによって王の意向を却下した案件が少なくとも3例記録されている。
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