決定後の動き
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「マイクロソフトの欧州連合における競争法違反事件」の記事における「決定後の動き」の解説
マイクロソフトは決定に従い、Windows Media Player を抱き合わせないオペレーティングシステム「Windows XP N」を発表した。またサーバ情報の開示要求を受けてマイクロソフトは当初の期限の最終日に、設計図ではないが、Windows Server 2003 service pack 1 のソースコードを Microsoft Work Group Server Protocol Program のメンバーに公開した。またマイクロソフトは上訴し、欧州委員会は2006年4月に終了した上訴について1週間にわたり聞き取りを行った。 2005年12月、欧州委員会はマイクロソフトがサーバプログラムに関する情報を適切に公開していないとして、決定に十分に従っていないと発表した。このとき欧州委員会はマイクロソフトが決定に従うまで1日あたり200万ユーロの制裁金を科していくとも述べている。2006年6月、マイクロソフトは欧州委員会に対して求められた情報の提供を開始するとしていたが、英国放送協会によると欧州委員会はマイクロソフトの対応について遅すぎるとしている。 2006年7月12日、欧州委員会はマイクロソフトに対して2005年12月16日から2006年6月20日までについて、1日あたり150万ユーロ、計2億8050万ユーロの追加制裁金を科した。欧州委員会は2006年7月31日までに決定に従わない場合は、その日以降、制裁金を1日あたり300万ユーロとすると警告した。 2007年9月17日、マイクロソフトは欧州委員会に対する訴訟で敗訴した。サーバの相互運用情報やメディアプレイヤーの抱き合わせと、4億9700万ユーロの制裁金も適切なものと判断された。さらにマイクロソフトは欧州委員会の訴訟費用の80%の負担を命じられた。ところが上訴審では欧州委員会が決定した、独立した監視機関が将来において会社内部への制限のない立入については認めなかった。2007年10月22日、マイクロソフトはこの決定に従い、さらに上訴することはないと言うことを発表し、実際に上訴の期限である2007年11月17日までの2か月以内に上訴しなかった。 マイクロソフトは相互運用ソフトウェアの供給元からのみ特許ライセンスロイヤルティ収入の0.4%を請求するとし、個別のオープンソース開発者からは特許使用料を徴収しないと発表した。相互運用情報ついてのみ、1度につき1万ユーロを支払うことで利用可能とした。 2008年2月27日、欧州委員会は2004年3月の決定に従わなかったとしてマイクロソフトに対して8億9900万ユーロの追加制裁金の支払いを科した。この額は欧州委員会の50年にわたる競争政策において過去最大のものである。この決定はかつて支払いを命じていた2億8050万ユーロが実際には支払われておらず、2006年6月21日から2007年10月21日までの期間を制裁の対象としたものである。2008年5月9日、マイクロソフトは第一審裁判所に訴訟を提起し、8億9900万ユーロの制裁金を撤回することを求めた。このときマイクロソフトは第一審裁判所での訴訟について「裁判所から明確な判断を得るために建設的に努力していく」と述べている。 マイクロソフトは2008年のアニュアル・レポートで次のように述べている。 The European Commission closely scrutinizes the design of high-volume Microsoft products and the terms on which we make certain technologies used in these products, such as file formats, programming interfaces, and protocols, available to other companies. In 2004, the Commission ordered us to create new versions of Windows that do not include certain multimedia technologies and to provide our competitors with specifications for how to implement certain proprietary Windows communications protocols in their own products. The Commission’s impact on product design may limit our ability to innovate in Windows or other products in the future, diminish the developer appeal of the Windows platform, and increase our product development costs. The availability of licenses related to protocols and file formats may enable competitors to develop software products that better mimic the functionality of our own products which could result in decreased sales of our -products.(日本語仮訳)欧州委員会は大量にあるマイクロソフトの製品の設計図や、ファイルフォーマット、プログラミン-グ・インタフェース、プロトコルといった製品に使われている技術を他社に利用することが可能としている契約条項を精査している。2004年、欧州委員会はマイクロソフトに対して特定のマルチメディア技術を搭載していない Windows のバージョンを製作すること、競合他社に Windows の特許で保護されているコミュニケーション・プロトコルをその社の製品で実行することができるようにするために仕様書を提供することを命令した。製品設計に関する欧州委員会の決定の影響は将来における Windows やほかの製品の開発能力を限定しかねず、また開発者に対する Windows プラットフォームの魅力を損なわせる恐れがあり、さらにはマイクロソフトの開発コストを増加させる可能性がある。プロトコルやファイル・フォーマット関連のライセンスが利用できるとなると、競合他社によりマイクロソフトの独自製品の機能性と同様のソフトウェア製品の開発が可能となり、その結果としてマイクロソフト製品の販売が減少するという結果になりかねない。 — Microsoft、Investor Central - Risk Factors -
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