死因と治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 22:34 UTC 版)
58口径ミニエー弾で撃たれた大腿骨 5.56 mm弾で撃たれた大腿骨 一般的な死因には、出血による循環血液量減少性ショック、気胸による窒息、心臓や重要な血管、脳や中枢神経系の損傷などによるものである。骨が破砕された場合、骨片が他の臓器などに被害を与え別の合併症を引き起こす。 応急処置 止血が重要である。重要な血管が傷ついて噴き出すように血が出る動脈性出血(英語版)の場合、1分で死亡率が50%となり、それ以外でも死因として出血が多い。そのため、医療関係者が到着するまで現場にいる人間が止血して延命する必要性があった。こういった事情から、ホワイトハウスでは一般市民に止血方法を教育する Stop the Bleed キャンペーンを2015年10月に開始した。 感染症 兵士の場合は、Combat Wound Medication Pack、もしくは、combat pill pack と呼ばれる鎮痛剤・抗菌剤・止血剤などがひとまとめになった錠剤が渡され、負傷後に飲むようにしている。傷口は、感染症とならないよう清潔なガーゼなどで抑えて止血する。こういった抗菌剤などがなかった時代では、傷口から細菌が侵入し感染症となったあと細胞の壊死が広がり四肢切断で食い止めることが行われた。 感染は1-5%と高くはないが、傷口に毛髪・皮膚・骨片が残されていると、創感染、髄膜炎、脳室炎、脳膿瘍などを引きおこす可能性がある。 鉛中毒(鉛毒、鉛銃弾遺残症) 体の中に残ると中毒症状を起こすため、弾を摘出することが求められる。19世紀まで消毒の概念がなく素手で取り出していたため、敗血症の死者・被害の拡大を出していた。 骨折 Gustilo分類(英語版)という開放骨折の段階と治療方針を考えるときの指標を使用する。小口径拳銃の場合I・IIのような傷となる。可能な限り骨の破片は取り除く。 防弾ベスト外傷 防弾ベストを着こんでいても、着弾の運動エネルギーは防弾ベストを変形させ防弾ベスト外傷を起こす。内容は、鈍的損傷・骨折などである。 長期的な症状 鉛中毒、心的外傷後ストレス障害(PTSD) 医療従事者にもたらす影響 銃乱射事件などで銃創を負った被害者が手術室に次々と運び込まれる局面は、医療従事者のメンタル面にも大きな影響を与える。銃創を手当てした外科医が発症する心的外傷後ストレス障害は、イラクやアフガニスタンの戦争に従事した兵士と同レベルとされる。
※この「死因と治療」の解説は、「銃創」の解説の一部です。
「死因と治療」を含む「銃創」の記事については、「銃創」の概要を参照ください。
- 死因と治療のページへのリンク