死の受容についての研究とは? わかりやすく解説

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死の受容についての研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 12:34 UTC 版)

「死」の記事における「死の受容についての研究」の解説

人が死をどのように受容するかについては、近年になってようやく真摯に研究されるようになってきた。 かつては例えば、フランソワ・ド・ラ・ロシュフコー1613年 - 1680年)は「箴言集」で「死を理解する者はまれだ。多く覚悟でなく愚鈍慣れでこれに耐える。人は死なざるを得ないから死ぬわけだ。」などと述べていた。 突発的事故など襲ってくる死の場合は、人は死について考え余裕さえない回復見込みのない病にかかり、医師などから余命数ヶ月宣告されるような場合、人は、自分が死なねばならない、じきに死ぬ、という事実に向き合うことになる。死の定めをどう受け入れるか、さまざまな試みを行う。 死を自覚した人は、一体どのように自己の死の事実向き合いどのようにその事実を拒否した受け入れたりするのか? キューブラー=ロスは、実際に多数の「死に行く人」と言葉を交わし心理治療従事した経験総合することで、多くの人が辿る「死の受容への過程」を、次のような段階的モデル示してみせた。 第一段階:「否認と孤立」 病などの理由で、自分余命があと半年であるとか三か月であるなどと知り、それが事実であると分かっているが、あえて、死の運命事実拒否し否定する段階。それは冗談でしょうとか、何かの誤りだという風に反論することで、死の事実否定するが、否定しきれない事実であることが解っているが故に事実拒否否定することで事実肯定している周囲から距離を置くことになる。 第二段階:「怒り」 拒否し否定しようとして、否定しきれない事実宿命だと自覚できたとき、「なぜ私が死なねばならないのか」という「死の根拠」を問いかける。このとき、当然、そのような形而上学的な根拠は見つからないそれゆえ誰々のような社会役に立たない人が死ぬのは納得できる。なぜ自分が死なねばならないのか、その問い答え不在に、怒り感じ表明する第三段階:「取り引き」 死の事実性・既定性は拒否出来ず根拠尋ねて答えがないことに対し怒っても、結局、「死に行く定め」は変化させることができない。死の宿命どうしようもない、と認識するが、なお何かの救いがないかと模索する。この時、自分強欲であったから、財産慈善事業寄付するので、死を解除してほしいとか、長年会っていない娘がいる、彼女に会えたなら死ねるなど、条件付けて死を回避する可能性探ったり、死の受容考え取引試みる。 第四段階:「抑鬱」 条件提示してそれが満たされても、なお死の定め消えないことが分かると、どのようにしても自分はやがて死ぬのであるという事実が感情的に理解され閉塞感訪れる。何の希望もなく、何をすることもできない何を試みても死の事実性は消えないこのようにして深い憂鬱抑鬱状態落ち込む第五段階:「受容」 抑鬱のなかで、死の事実反芻している時、死は「無」であり「暗黒虚無」だという今まで考えは、もしかして誤っているのかもしれないという考え出会うことがある。あるいはそのような明確な考えでなくとも、死を恐怖拒否することで、回避しよう必死であったが、死は何か別のことかも知れないという心境訪れる。人によって表現異なるが、死んで行くことは自然なことなのだという認識達するとき、心にある平安訪れ「死の受容」へと人は至る。 ただしこれは、キューブラー=ロス多数の「死に行く人」の事例観察して得たひとつの範型であって、人が全員、以上のような段階経て、死の受容に至るわけではない色々な自己の死との向かい合いがあることを、ロス自身認めている。 いずれにせよ、人が死を受け入れて尊厳持って死に臨めるようにするためには、周囲理解協力必要不可欠である、ともされる

※この「死の受容についての研究」の解説は、「死」の解説の一部です。
「死の受容についての研究」を含む「死」の記事については、「死」の概要を参照ください。

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