楯無鎧の伝承と記録とは? わかりやすく解説

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楯無鎧の伝承と記録

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/30 01:38 UTC 版)

楯無」の記事における「楯無鎧の伝承と記録」の解説

楯無鎧甲斐源氏始祖新羅三郎義光以来甲斐源氏惣領武田氏家宝として相伝された「楯無」の号を持つ鎧で、御旗(みはた)と呼ばれる義光から受け継いだ日章旗と対になっている御旗甲州市塩山上萩原雲峰寺所蔵されている。 戦国時代には、戦国大名となった武田氏家中神格視され、御旗楯無に対して御旗楯無御照覧あれ」と誓い出陣したという。武田信玄楯無鎧鬼門鎮護のため甲府から北東にあたる山梨郡曽郷甲州市塩山上於曽)の菅田天神社宝殿納め武田氏一族である於曽氏管理し必要に応じて持ち出されたという。 天正10年1582年)、武田氏滅亡に際して武田勝頼家臣田辺左衛門尉により向嶽寺杉下埋められたという。その後甲斐領した徳川家康により回収され再び菅田天神社戻され江戸時代には盗難遭い破損し寛政10年1798年)には補修文政10年1827年)に補修が行われたという。昭和27年1952年11月22日に「小桜韋威鎧 兜、大袖付」(こざくらがわおどしよろい かぶと、おおそでつき)として美術工芸品区分国宝指定された。 楯無鎧に関する文献資料で最も古いのが甲府市太田町旧地一条小山)の時宗寺院である一蓮寺に伝わる『一蓮寺過去帳』で、鎌倉時代当主武田信光阿弥号記した箇所には、「武田氏系図」を典拠に信光が射法楯無鎧相伝したことが記されている。 武田氏鎌倉時代信時武田氏安芸国守護職継承し甲斐では一族甲斐一条氏足跡残し南北朝時代信時武田氏が再び甲斐へ土着甲斐守護職継承している。『一蓮寺過去帳編纂に際して用いられた「武田氏系図」は、現存する一統系図』の前身となる系譜資料であった考えられているが、『一統系図』では楯無鎧は信光以後甲斐一条氏経て信時武田氏相伝されたことが記されており、家督継承に際して嫡子相伝される伝承信時武田氏甲斐支配正当化させるために成立した考えられている。 また、戦国時代永禄9年1566年)に長野県上田市生島足島神社奉納され信玄への忠誠を誓う起請文には親族武田信廉をはじめ楯無鎧について記載されているものが含まれており、戦国時代には武田家臣団の間で楯無鎧神格化されていたことが確認されている。 戦国期では他に楯無鎧について記されている文書記録見られず、近世には『甲陽軍鑑』をはじめとする軍学書や地誌類に楯無鎧に関する記録見られる。『軍鑑』では武田信虎自身の馬を所望する嫡男勝千代に対して義広御太刀」「左文字の刀脇指」「二十七代までの御旗・楯無」の相続約束する逸話記され楯無については「新羅三郎具足」であると説明されている。 また、『軍鑑』に拠れば勝頼期の天正3年1575年)には長篠の戦いにおいて武田方が織田信長徳川家康連合軍敗北した際に、武田家臣団のなかで撤退論が主張されるなか、抗戦主張する武田勝頼楯無鎧に対して誓約行い反対していた家臣らもそれに従ったという逸話記され武田家当主御旗・楯無に対して誓約したことは改変できないものであったという作法説いており、『軍鑑』が成立した17世紀初頭にはこれらの伝承成立していたと考えられている。 さらに、『軍鑑』に付随して成立した甲陽軍鑑末書』『信玄全集末書』などでも楯無鎧着用した武田信昌合戦において矢を通さなかった霊験あらたかな鎧であったという逸話記している。勝頼は跡継ぎの信勝が元服(鎧着の式)を済ませていなかったことから、急いで陣中にあった楯無着せそのあと父子自刃したという悲話残っている。

※この「楯無鎧の伝承と記録」の解説は、「楯無」の解説の一部です。
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