有史時代の事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 21:16 UTC 版)
最近に起きた火山の冬の規模は比較的穏やかではあったが、重大な影響をもたらすこともあった。1783年のベンジャミン・フランクリンによって書かれた論文では、1783年の冷夏はアイスランドからの火山灰が原因であると指摘している。当時のアイスランドでは、ラキ火山が噴火して、大量の亜硫酸ガスを排出しており、結果としてアイスランドの家畜の大多数を死に至らしめ、人口の4分の1が飢えで死ぬほどの悲劇的な飢饉をもたらした。また、北半球の温度はこの噴火の影響で約1°C低下した。 535年から536年に至る異常気象現象(英語版)は、535年に起こったインドネシアのクラカタウ火山噴火が関係していると考えられている。 1315年から1317年にかけたヨーロッパでの大飢饉(Great Famine of 1315–1317)はニュージーランドにあるタラウェラ山の5年ほど続いた火山活動(カハロア噴火)によって引き起こされたものであったと考えられている。 1452年または1453年に起こったバヌアツの海底火山クワエの地殻の激変するほどの噴火(VEI6)は世界的混乱を引き起こした。 1600年、ペルーのワイナプチナ火山が噴火(VEI6)した。年輪による研究によると1601年は寒冷だった。ロシアでは1601年から1603年にかけて最悪の飢饉が発生して「動乱時代」の混乱が深刻化し、スイス、ラトビア、エストニアでは異常な寒冬であった。1601年フランスではワインの収穫が遅れ、ペルーとドイツのワインの生産は壊滅的だった。中国では桃の木の開花が遅れ、日本では諏訪湖の氷結時期が早かった。 1783年のアイスランドのラキ火山の噴火(VEI6)はヨーロッパと北アメリカでの異常な気候状況を引き起こした。天明の大飢饉はこの爆発によって引き起こされたという説が有力である。またこの年には、ラキ火山と同じアイルランドのグリムスヴォトン、日本の浅間山や岩木山も噴火しており、火山活動が活発であった。更にフランス革命の遠因ではないかとも言われている。 1815年のインドネシアの成層火山であるタンボラ山が噴火(VEI7)し、その影響でニューヨーク州では真夏に霜が発生、ニューイングランド州とニューファンドランド・ラブラドール州では6月に雪が降った。今ではこれらは1816年の「夏のない年」として知られている。 1883年、クラカタウの大噴火(VEI6)によって火山の冬に匹敵するような状況を生み出した。噴火の後の4年間は異常に気温が低く、1888年の冬に世界各地で記録的降雪があった。 直近のものでは、1991年、フィリピンの成層火山であるピナトゥボ山が噴火(VEI6)し、2年から3年の間世界的に温度を引き下げた。
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