昭和戦前期・戦間期の『思想』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/30 08:06 UTC 版)
「思想 (雑誌)」の記事における「昭和戦前期・戦間期の『思想』」の解説
『思想』は、昭和3年8月号に一度休刊したのち、和辻哲郎、谷川徹三、林達夫らを編集者に置く形で、昭和4年4月号に再刊する。再刊号の目次は次のようなものであった。 和辻哲郎・谷川徹三・林達夫 「思想」再刊の辞 西田幾多郎 自覚的一般者に於てあるもの及それと背後にあるものとの関係 和辻哲郎 風土 三木清 ヘーゲルの歴史哲学 板垣鷹穂 機械文明と現代美術 石原純 物質と空間時間との必然的関係 香野雄吉 映画と建築 谷川徹三 マルクス主義文学理論の一批判 本多謙三 三木清氏の近業の二つ 野呂栄太郎 猪俣津南雄氏著「現代日本ブルジョアジーの政治的地位」を評す 露伴学人 晋の僧法顕南アメリカに至る?日本に来る? 佐藤春夫 恋文のことその他 茅野蕭々 鳩に巣をつくる 住吉喬六 ストリンドベルクの「教師」論 片山敏彦 ロマン・ロランと印度精神 羽仁五郎 荻生徂徠の観念形態論 西田幾多郎 或教授の退職の辞 H 編輯後記 上記のように、この号には随筆的な文章が多数収められているが、谷川によると、この後編集方針として創作欄をなくしたという。 この時期には、西田哲学特集(昭和11年1月号)、フランス哲学特集(昭和12年1月号)などのほか、昭和9年5月号(特集「日本精神」)や、昭和11年6月号(特集「日本文化」)など、時代を反映する特集も組まれている。さらに後の時期には、特集「大東亜戦争」(昭和17年6月号)が組まれた。 その後、十五年戦争末期には、哲学研究者(和辻哲郎、三木清、田中美知太郎など)の論文を多く収録し、特に西田幾多郎の晩年の論文群(「自覚について」など)が本誌に掲載されたことは注目される。また、「イデア」(昭和18年9月号、10月号、11月号に掲載)などの田中美知太郎の所論文は、古代ギリシャ哲学に関する優れた研究であり、のちに岩波書店から刊行(現在は文藝春秋社より文春学藝ライブラリーの一冊として復刊)されている。
※この「昭和戦前期・戦間期の『思想』」の解説は、「思想 (雑誌)」の解説の一部です。
「昭和戦前期・戦間期の『思想』」を含む「思想 (雑誌)」の記事については、「思想 (雑誌)」の概要を参照ください。
- 昭和戦前期・戦間期の『思想』のページへのリンク