映画化およびテレビ化
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「肩をすくめるアトラス」の記事における「映画化およびテレビ化」の解説
『肩をすくめるアトラス』の映画化は40年近い「開発地獄」の歴史であった。1972年、映画プロデューサーのアルバート・S・ラディー(Albert S. Ruddy)がランドに『肩をすくめるアトラス』の映画化を持ちかけた。ランドは最終脚本に対する承認権を求めたが、ラディーはこれを拒否し、交渉は流れた。1978年、ヘンリー・ジャフィ(Henry Jaffe)とマイケル・ジャフィ(Michael Jaffe)が、『肩をすくめるアトラス』を8時間のミニ連続テレビドラマにしてNBCで放映する構想を持ちかけた。マイケル・ジャフィは、本作品のテレビドラマ化のために映画脚本家のスターリング・シリファント(Stirling Silliphant)を雇い、ランドから最終脚本の承認権を取得した。しかし、1979年にフレッド・シルバーマン(Fred Silverman)がNBCの社長に就任すると、このプロジェクトは破棄された。 かつてハリウッドの映画脚本家だったランドは、自ら本作品のミニ連続テレビドラマ脚本を書き始めたが、1982年、脚本の3分の1が完成したところで死去した。ランドは『肩をすくめるアトラス』の映画化権を含む遺産を、弟子のレナード・ピーコフ (Leonard Peikoff) に相続した。ピーコフは、本作品の映画化権をマイケル・ジャフィ(Michael Jaffe)とエド・スナイダー(Ed Snider)に売却した。ピーコフは彼らが書いた脚本を承認せず、この取引は流れた。1992年、ジョン・アグラロロ(John Aglialoro)が本作品の映画化権を、完全なクリエイティブ・コントロール権を含めて100万ドルを超える価格で購入した。 1999年、ラディー(Ruddy)がアグラロロのスポンサーシップの下、ターナー・ネットワーク・テレビジョン(Turner Network Television)と、『肩をすくめるアトラス』を4時間のミニ連続テレビドラマにする交渉に入った。しかしこのプロジェクトは、AOLとタイム・ワーナーの合併後、廃棄された。ターナー・ネットワーク・テレビジョンとの交渉が廃棄された後、ハワード・ボールドウィン(Howard Baldwin)とカレン・ボールドウィン(Karen Baldwin)は、フィリップ・アンスチャツ(Philip Anschutz)の映画会社「クルセイダー・エンターテイメント」(Crusader Entertainment)の経営権を取得した。2004年、ボールドウィンは「クルセイダー・エンターテイメント」を去り、新たに設立した「ボールドウィン・エンターテイメント・グループ」(Baldwin Entertainment Group)に『肩をすくめるアトラス』の映画化権を移転した。映画制作・配給会社「ライオンズゲート・エンターテイメント」(Lions Gate Entertainment)のマイケル・バーンズ(Michael Burns)は、『肩をすめるアトラス』映画化の資金拠出と配給をボールドウィンに持ちかけた。脚本の草稿がジェームズ・V・ハート(James V. Hart)によって書かれ、ランダル・ウォレス(Randall Wallace)によってリライトされたが、この脚本では制作されなかった。 アグラロロが購入した『肩をすくめるアトラス』の映画化権は、2010年6月15日に期限が切れることになっていた。権利が切れる前に撮影を開始するため、ブライアン・パトリック・オトゥール(Brian Patrick O'Toole)とアグラロロは、2010年5月に脚本を書き上げた。ステファン・ポルク(Stephen Polk)が監督を引き受けたが、解雇され、監督ポール・ヨハンセン(Paul Johansson)、制作ハーモン・カスロウ(Harmon Kaslow)およびアグラロロで、2010年6月13日に撮影が開始された。これにより、アグラロロの映画化権は維持された。撮影は2010年7月20日に完了し、2011年4月15日に公開された。ダグニー・タッガートはテイラー・シリング(Taylor Schilling)が演じ、ハンク・リアーデンは グラント・バウラー(Grant Bowler)が演じた。 公開された映画「Atlas Shrugged: Part I」は、プロの評論家からは全般的に否定的な評価を受けた。映画情報ウェブサイト「Rotten Tomatoes」では、肯定的レビューは11%だった。総興行収入は5百万ドルを下回った。DVDおよびBlu-rayの販売売上は5百万ドルになったが、興行収入と合計しても予算2千万ドルの約半分であった。プロデューサー兼脚本のアグラロロは、興行成績がふるわなかった責任を評論家たちに押し付け、ストライキに入ることを示唆したが、最終的に3部作の残り2部作も完成させた。 2012年2月2日には、カスローとアグラロロが、「Atlas Shrugged: Part II」の制作資金調達が完了し2012年4月に撮影を開始する運びになったと発表した。。映画「Atlas Shrugged: Part II」は2012年10月12日に公開された。評論家向けの試写会は実施されなかった。映画興行成績分析サイト「Box Office Mojo」によれば、「Atlas Shrugged: Part II」の公開時興行成績は、かつて全米公開された映画の中で、下から数えて98番目であった。オンライン・ニュースサイトの「デイリー・コーラー」(The Daily Caller)によれば、「Atlas Shrugged: Part II」の予算は「Part I」の2倍の2千万ドルだったにもかかわらず、最終的な興行収入は「Part I」を大きく下回る330万ドルだった。ただし、オンライン・データベースの「インターネット・ムービー・データベース」(Internet Movie Database)では「Part I」の予算が2千万ドル、「Part II」の予算が1千万ドルと推定されており、「Box Office Mojo」では「Part I」の制作費が2千万ドル、「Part II」の制作費が「データなし」とされているので、これらの数字は仮のものとして扱う必要がある。「Rotten Tomatoes」では、21本のレビューのうち肯定的レビューは5%だった。 2014年9月12日には第3部「Atlas Shrugged: Part III」が公開された。封切劇場は242箇所、公開後最初の週末の興行収入は461,197ドルだった。映画「Atlas Shrugged: Part III」は評論家たちからは酷評され、映画情報ウェブサイト「Rotten Tomatoes」ではレビュアー10名のうち肯定的レビューが0%だった。
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