日本百名山ブーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 17:11 UTC 版)
本書は紀行文集でも案内書でも、まして登山入門書でもないのだが、この本を通じて、今まで知らなかった日本の山々の魅力を知り、自分もこれらの山に登ってみようという人たちが、登るべき100の山の指標だという勘違いから「日本百名山ブーム」が起き、現在も継続している。百座のうち自分がいくつ登ったか増えていくのを楽しみにしている読者もいる。ただし、深田久弥自身は戦前以来の経験豊富な仲間との奥深い「避衆」登山を好み、一方で第2次RCCの奥山章などの若い世代のパイオニア的な登山も背後から奨励していただけに、そのような登山初心者の風潮にいささか困惑していた。 一方、自分で山岳の探究をせずに「日本百名山」だけに人々が群がり、シーズン中の百名山周辺の山小屋が旅行会社のツアー客も交えて混雑し、登山道が荒廃するような山登りのありかたを批判する意見もある。もとより深田久弥の「罪」とされているわけではないが、国内外で1500座以上の山岳を登頂した山歴を持つ今西錦司は、百名山は深田がいわば酔狂と身びいきで選定したもので、基準も関東中心で絶対的ではないとした。そして、筑波山のように東京から見える山ではなく、標高も1500メートルにも満たない低山ではあるが、生態系の多様性や歴史・伝承に満ちた集落を有し、「日本百名山」に匹敵する立派な山が京都北山の奥深くにあるのを知っている。しかし、「深田百名山」のように荒らされると困るので、どこの山なのかは絶対に書かないと、京都学派らしく皮肉っぽく述べている。 1994年(平成6年)から翌年にかけてNHK衛星第2テレビジョンのテレビ番組で、『深田久弥の日本百名山』が映像と深田の文章を交えて一山につき10分ずつ全山が紹介された。また、1995年に岩崎元郎・みなみらんぼうによる趣味百科『中高年のための登山学』が放映されたが、その反響が大きく1997年にはその続編として岩崎元郎・山内賢による趣味悠々『中高年のための登山入門〜日本百名山をめざす』が放映され、中高年登山者を中心に、さらにブームを拡大する契機となった。2012年7月2日からNHK BSプレミアムのテレビ番組『にっぽん百名山』で、日本百名山の登山を主題とする紀行番組が放送されている。
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