日本生命保険書き込み削除請求
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 10:03 UTC 版)
「西村博之」の記事における「日本生命保険書き込み削除請求」の解説
日本生命保険は2001年3月、匿名掲示板「2ちゃんねる」の保険業界板に社員を中傷する記載(職場内での恋愛スキャンダルにまつわる書き込み)があるとして東京地裁に削除(保険業界板の閉鎖と約500カ所の書き込み削除)を求める仮処分を申請した。その後、ひろゆきが配信したメールマガジンで同社による削除請求を知った2ちゃんねらーと書き込みに訪れた日本生命職員らとの間で苛烈な論争が繰り広げられる。さらには自社に不満を持つ一部の職員による内部告発や自社バッシングなど「自己批判」を招く異様な事態となった。 2001年8月28日、東京地裁(野口忠彦裁判官)は計20カ所の書き込み削除をひろゆきに命じた。これはパソコン通信を除くインターネットの電子掲示板を舞台とした名誉毀損に関する初の判例である。この出来事について井上トシユキは次のように総括している。 審尋が始まった当初、「日本生命の主張が通れば、同様の申し立てが他の企業、個人から頻発することは間違いない」との見方があった。これに対しては、もともと自由なコミュニケーションのツールであった電子ネットワークが、権力者や商業の都合に絡め取られる端緒になるのではないかということから、表現(報道)の自由やメディアリテラシーの問題として、安易な削除命令が出されることを危惧する声も挙がっていた。そうした意味で、今回の決定は喧嘩両成敗的なものであり、「冷静な判断だった」と評価する意見もあれば、不満を述べる向きもある。いずれにせよ、経験はまだこれから蓄積される。電子ネットワーク上に広がる世界を、どちらが表でどちらが裏かということではなく、現実世界と共生し並び立つ存在にまで育てていくのは、他でもない各々のユーザー自身である。誰もが自ら持ついくつかの社会的存在としての側面のそれぞれから、「2ちゃんねる」やその他の電子ネットワーク上のサイトを冷静に観察し、評価し、知恵を出しあって、少しずつ意見や価値を共有していくことで、それが可能になるだろう。そう、それはまさにコミュニティ=社会の生成そのもののプロセスなのである。 — 井上トシユキと神宮前.org『2ちゃんねる宣言 挑発するメディア』(文藝春秋, 2001年) - 「事件とネット時代のメディアリテラシー」pp.185-186
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