しん‐じん【審×訊/審尋】
審尋
審尋(しんじん)
特許法における”審尋”とは、審判手続において、審判長が、当事者の双方又は一方、あるいは参加人(利害関係人)に対して、紛争に関して意見や主張を提出する機会を与える手続をいう(特134条4項)。なお、審判合議体は、全ての案件について審尋を行う必要はなく、審尋を行うか否かの判断は、審判合議体(その事件を担当する3名または5名の審判官の集まり)が判断する。
審査官の拒絶査定に対して不服がある出願人は、拒絶査定不服審判を請求することができる。拒絶査定不服審判は、審判官によって審理がなされるのが原則である。しかし、拒絶査定不服審判請求の際に適切な補正がなされた場合、元の審査官が審査をすれば、特許査定をすることが簡単にでできることも多い。そこで、拒絶査定不服審判請求の際(請求から30日以内)に補正がなされた場合には、元の審査官に審査をさせる制度が設けられている(審査前置制度)。
審査前置において、審査官が特許できると判断した場合には特許査定がなされる。特許できないと判断した場合には、審査官の見解を審判官に報告する(前置報告)。審判官は、審判請求人(出願人)に対して審査官の見解を通知し、反論(回答書)の提出機会を与える。これが、前置報告を利用した審尋である。なお、前述のように、審尋を行うか否かは審判合議体の判断による。
以前は、全ての技術分野について審尋の手続きがなされていたが、2014年4月以降は、審理に時間を要する分野(医療やバイオテクノロジーなどの分野)に限って審尋を行うようにしている。
(執筆:弁理士 古谷栄男)
審尋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/08 17:03 UTC 版)
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審尋(しんじん)は日本における決定で終結する民事手続において、当事者(若しくはその代理人)の双方又は一方、あるいは利害関係人が、紛争に関して意見や主張を裁判所に提出する訴訟行為。
民事訴訟法87条2項、335条などで、審尋を行うことができるとされている。この場合は審尋を行うか否かは任意的で、裁判所が裁量で審尋を行わないで完結することもできる。他方、第三者に対して文書提出命令を行おうとする場合(同法223条2項)や、仮の地位を定める仮処分を発令する場合(民事保全法23条2項)などは、審尋を行うことが必要的である。
審尋は無方式であり、書面提出だけによって行うこともある一方、非公開ではあるが裁判官の面前で準備書面または主張書面(民事保全法ではこう呼ぶ)によって意見や主張を述べ合うこともでき、証人に代わる参考人を出頭させることもできる。裁判所の裁量により、審尋をしないで完結することもある。
審尋は当事者または利害関係人双方を裁判官の面前でなす場合、同時ではなく別途個別にすることは、参考人を審尋するのでない限り妨げられない。保全命令申立て、破産法の免責申立て、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律による申立てなど特に、相手方に知れない段階で申立てをした一方の当事者のみを審尋することがある。この場合、(裁判官との)面接ということも多い。この場合は釈明処分(民事訴訟法151条)としての性質も有する。
関連項目
品詞の分類
名詞およびサ変動詞(訴訟) | 対審 審問 審尋 結審 判決 |
名詞およびサ変動詞(問う) | 質疑 下問 審尋 発問 設問 |
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