新CS-ATC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 14:45 UTC 版)
東急田園都市線 JR常磐緩行線 東京メトロ全線 都営地下鉄三田線・大江戸線 上が通常の状況での新CS-ATCの車内信号機。進行現示の緑のランプが点灯し許容速度を橙の三角形で表示している状態。下が車上パターン式過走防護機能 (ORP) が作動している状況での新CS-ATCの車内信号表示。停止現示の赤のランプが点灯し下部の赤のP表示が点滅している状態。 ATC-10と構造的にはほぼ同じで、従来のCS-ATCに代わって導入が進められている。一段ブレーキ制御では従来の方式より閉塞数を多くできるため、増発が可能になる。信号現示は0・10と10 - 80の間が5km/h刻みが基本だが、路線・会社によって若干異なる。ATCブレーキは緩和ブレーキ方式を採用しており、鉄道会社によって細部は多少異なるが、作動直後と緩解直前に常用最大ブレーキの半分のブレーキ力を作用させることで急減速によるショックを和らげている。この制御により、運転士が信号予告情報によりあらかじめ手動ブレーキを掛けてATCブレーキのショックを緩和する操作を行わなくても乗り心地を損なわないようになっている。信号現示が増えたため、運転台の速度計では許容速度を橙の三角形▼で示すほか、速度計の上部に、進行現示の場合は緑のランプ●を、停止現示の場合は赤のランプ●を表示する機能も追加した(入換の際はどちらも点灯しない)。また、前方の軌道回路が下位の許容速度を指示している際には、その情報を運転士に知せるために、運転台に設置された前方予告灯が点灯して、列車の無駄な力行(加速)を避け、ブレーキオフでの乗り心地の悪化を防ぐことできる。 一段ブレーキ制御にはデジタルATC (D-ATC) があるが、新CS-ATCは地上装置から直接速度現示を行い(D-ATCは列車が停止すべき位置情報を受信し車上装置が最適速度を判定して速度現示する)、最初の現示変更による制動が緩解しないうちに速度現示を変更させ、最終的な速度まで1回の制動で減速できるように許容速度が設定されている。多くの路線ではアナログ信号で伝送するほか、旧型のCS-ATCとの互換性もある。ただ、最高速度などは導入段階で一番ブレーキ性能の悪い列車に合わせているため、ブレーキ性能の異なる列車が走る路線には向いていない。また、デジタルATCとは互換性はないほか、主たるブレーキ制御はパターン制御ではないため、速度現示の変更を受けた時の速度によっては、必ずしも一段ブレーキ制御とはならず数回の制動となる場合がある。 同方式は東急田園都市線で初めて採用されたが、銀座線への導入に当たっては車上パターン式過走防護 (ORP : Over Run Protector) 機能を追加した。これは過走余裕が取れない駅での高速進入を可能にするもので、終端や分岐器直前の02信号(非常制動を指示する停止信号)の手前から15・20・25・35 km/hからの減速パターンによる速度照査を行う。この際、赤のP表示が点滅し、速度計にある赤色の針でパターン速度を表示する(滑走を検知した場合は滑走用の速度パターンになる)が、赤色の針が無いものは、線路内に設置されたORP専用の速度表示板によりパターン速度を表示する。両者ともパターン速度を超過すると非常ブレーキが作動する。同機能は後の新CS-ATC導入路線にも採用された。
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