推力の生成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 14:32 UTC 版)
薄片形状をした鰭は動かされることで推力を生みだし、鰭の揚力が水や空気に動きを与えると共に鰭を反対方向に押しやる。水生動物は水中で鰭を前後に動かすことで大きな推力を得る。多くの場合は尾鰭が使用されるが、一部の水生動物は胸鰭から推力を生みだす。 鰭の動きが生む推力 魚は垂直な尾鰭を左右に振って推力を得る アカエイは大きな胸鰭から推力を得る 小離鰭が尾鰭周辺での渦ができる工程に影響を及ぼす場合もある。 キャビテーションは、陰圧が液体中に気泡(空洞)を引き起こして後にそれが急速かつ激しく崩壊する時に発生する。それは重大な損傷と摩耗を引き起こしうるものである。キャビテーションによる損傷は、イルカやマグロなど泳力の強い海洋動物の尾鰭で発生することがある。キャビテーションは、周囲の水圧が比較的低い海洋の水面付近で発生する可能性がより大きい。速く泳ぐ力があったとしても、尾のキャビテーション気泡崩壊があまりに痛いため、イルカが速度を抑制せざるを得ない場合もある。キャビテーションはまたマグロも遅くさせるが、こちらには別の理由がある。イルカと違ってこの魚は、神経終端のない骨質の鰭を有しているので、泡を知覚しない。とはいえ、キャビテーションの泡が鰭周辺に速度を抑制させる気体膜を生み出すため、彼らは速く泳ぐことができなくなる。キャビテーションによる損傷と一致するマグロの病変が発見されている。 サバ科の魚(マグロ、サバ、カツオ)は特に泳ぎの性能が高い。彼らの胴体後部の縁に沿って、小離鰭として知られる鰭条のない小さくて引き込み不能な鰭の列がある。この小離鰭の機能に関しては多くの推測がある。2000年と2001年に行われた研究では「小離鰭は安定水泳中に局所的な流れでの流体力学的影響を与えており、」また「最後部の小離鰭は流れを発生中の尾の渦に向け直すように向けており、それが泳いでいるサバの尾によって生成される推力を増加させている可能性がある」ことが示された。 魚は複数の鰭を使用するため、特定の鰭が別の鰭と流体力学的な相互作用を成すこともある。特に、尾鰭のすぐ上流にある鰭が、尾鰭の流体力学に直接影響を与えうる近接した鰭かもしれない。2011年、粒子画像流速測定法技術を活用する研究者達が「自由に泳ぐ魚によって生成される最初の航跡構造の瞬間的な3次元ビュー」の作成をなし遂げた。彼らは「連続的な尾の振りが結果的に渦輪の連鎖を形成させたこと」そして「背鰭と臀鰭の航跡が、概ね尾の振りの時間枠内に収まるよう、尾鰭の航跡によって急速に同調されていく」ことを発見した。
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