推力比較上の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 15:03 UTC 版)
ロケットの推力比較には以下の様な問題があり、一概的な比較は難しい。 実際にロケットが発生する推力は、公表されている数値に対して誤差がある。第一段S-IC全体で3,397.5トン (33.35MN) から3,447.5トン (33.85MN) へとパワーアップされたものの、公表された数値と実際に計測された数値(3,544トン、34.8MN)とは異なっている。 原因としては、ロケットの推力は実際に飛行するまでに直接計測する方法が存在せず、実験段階では燃焼試験台での圧力、ターボポンプの回転速度、燃料の密度や流量率、ノズルのデザイン、大気の状態、そして大気圧などを元にして数学的に計算して求めるしかないことが挙げられる。 推力は、スロットル(推力調整)機能を持たないエンジンであっても、高度上昇による大気圧の変化によって大きく変化するため、真空推力(上段ロケットに対して使われる)と海面推力(下段ロケットに対して使われる)の二種類があるが、両者は混同されることがある。アポロ15号では、離陸推力はおよそ3,544トン (34.8MN) だったが、発射後135秒の段階においては、4,159トン (40.8MN) にまで増大した。 推力は燃料と酸化剤の混合比の変化、燃焼時の燃料密度の変化、ターボポンプ・ノズル・噴射機の性能など、様々な要素によって変動するものであり、上記に加えてさらに平均推力と最大推力の二種類に細分化されるが、これも混同されることがある。
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