振動台性能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/22 14:35 UTC 版)
振動台の主要性能は下記となる。製造メーカーは三菱重工であり、同社は大型振動台を1970年に科学技術庁国立防災研究センターに納入して以来、経験の蓄積に努め、本機を開発した際は、当時存在した最大の大型振動台の10倍の加振力を有する、世界最大の設備であった。 主要性能項目性能備考最大積載重量1000t テーブル寸法15×15m 加振方向同時2軸 水平1軸、垂直1軸 最大ストローク水平±200㎜ 垂直±100㎜ 最大速度水平75㎝/s 同時に垂直方向最大速度を満足すること 垂直37.5㎝/s 同時に水平方向最大速度を満足すること 最大加速度水平無負荷:約5g500t:約2.72g1000t:1.84g 慣性負荷積載時 垂直無負荷:約2.5g500t:約1.36g1000t:0.92g 慣性負荷積載時 最大加振力水平3000tg 垂直3300tg 転倒許容モーメント6500t・m 垂直方向最大加速度発生時に満足すること 12000t・m 垂直加振の無い場合 許容偏揺モーメント3000t・m 加振持続時間20s 正弦波による加振時、最大速度にて、2軸同時加振可能なこと 連続加振最大速度最大速度の5% 2軸同時加振可能なこと 周波数範囲0~30Hz 実際の原子力施設機器と同一材料の試験体に同一の振動応力を与えることを目的としているが、テーブルの寸法、重量の制約から載荷する試験体は実機より縮小した模型となる場合も想定された。そのため各試験でモデルとした地震入力をそのまま再現するのではなく、縮尺率の逆数倍の加速度として振動台に入力することとした。この他、据え付け床面の応答倍率、試験体の振動特性を考慮し500tの慣性負荷で2.72g(2670Gal)の水平加速度が得られるようにした。 また、各周波数による加振限界は一定ではない。無負荷で5g、500tで2.72gといった最大加速度値はいずれも10Hz(周期0.1秒)近辺における値である。本振動台の設計にあたっては原子力施設が高剛性故に高周波の振動に共振することを考慮し、ストロークと最大速度を大きくとることで、全体として4~17Hzの範囲で2000Gal以上の加振力を得ており、当時としては広帯域と言えた。ただし、それより高周波の領域では油圧シリンダの油の圧縮性の問題からテーブルの有効変位が小さくなるため限界性能は落ちている。 重心位置の高い試験体を水平加振するとロッキング運動を起こすため、この防止策として転倒防止モーメントが必要とされる。垂直加振機は3300tの加振能力の内1800tを転倒モーメント抑止のために充て、試験体の垂直加振に使われるのは1500tである。 計測データは新造当時から300点で同時計測が可能となるよう、付随する情報システムの仕様が決められた。サンプリングは最少1msで実施可能であり、計測データは11bit(サインビットを除く)にデジタル化される。ただし、振動台に付属するコンピュータは新造当時は計測データを磁気テープに記録することに主眼が置かれ、データ解析は他の大型コンピュータを使用する前提であった。
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