振動問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 21:16 UTC 版)
ばねの使用目的が振動の緩和であれば、ばねとは別に振動を減衰をさせる機械要素が必要となることがある。減衰とは物体の振動エネルギを熱エネルギなどに変換して消散させることで、減衰用の機械要素としてはオイルダンパなどが代表的である。ゴムばねのようにばね自体に減衰を備えているものあるが、一般的な金属コイルばねは減衰を少ししか起こさないため、別にダンパが必要となる。減衰によって、ばねで支えられた物体が自由振動で揺れ続けることを避けることができる。より強力に振動を抑えるために、ばね・ダンパに加えてアクチュエータを備えることもある。車両のアクティブサスペンションなどがその例である。 振動の問題を扱うときなどには、対象の機構をモデル化し、個々の要素から構成されるシステム(系)として考える。基本的な振動モデルは慣性要素、復元要素、減衰要素の3つから成る。復元要素の典型がばねである。ばねの荷重-たわみ特性を求めることができれば、振動モデル上の一要素としてその特性を与えることができる。ただし、振動モデル上でモデル化されたばねは、実際のばねをあくまでも理想化したものであることに注意が必要である。振動モデル上のばねは質量を持たないものとして扱われるが、実際に組み込まれるばねは質量を持っている。実際のばねは、それ自体も一つの振動系である。そのためばね自体も振動し、その振動にも固有振動数が存在する。ばね自体の固有振動数と外からの振動数が一致すると共振が起こる。この共振は「サージング」と呼ばれ、特に高振動数で伸縮される圧縮コイルばねで問題となる。サージングが起こると、機構の動きにばねが追従できずシステムが不安定になったり、ばねの破損を引き起こしたりする。サージングが問題となるときは、ばね自体の固有振動数を上げるなどして対策をする。
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