帰属におけるバイアスと誤り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 01:19 UTC 版)
詳細は「帰属バイアス」を参照 根本的な帰属の誤り 他者の行動の原因を判断する際には、内的な性質などの要因を過大評価し、外的状況の要因を過小評価する傾向のあることをさす。 この誤りが起きる原因は、観察者が判断を行う上で、周囲の状況よりも行為者自身の方が、より目立つからであるという考え方がある。すなわち、行為者の置かれている状況や行動に至った背景の事情はあまり目立たず、観察者に知られていないことも多いので、観察者は行為者の行為にだけ注意を集中し、それがその人本来の性質であると考えやすいとされる。 スポットライト効果 人々は、実際にはそれほどでもないのだが、自分の姿や行動は、他の人に対して目立っていると思い込んでいる。これをスポットライト効果という。 行為者と観察者の差異 同一の行動であっても、他者の行動は、内的要因により起きていると考え、自分の行動は外的要因により起きていると考える傾向がある。この差異が起きる原因について、広く認められている説明は、基本的な帰属の誤りで述べたのと同じような知覚-認識上の要因に基づくというものである。 相似のバイアス 相似のバイアスとは、人の行動は行為者の性格と一致していると結論する傾向のことである。行動の要因が内的であると推論するだけでなく、その内的要因は行為者の永続的な性格特性と合致すると結論するのである。 特性帰属 帰属判断における誤りは、個人に対する判断だけでなく、個人が属する集団全体に対する判断にも及ぶ。行動の原因は内的特性であり、行為者が属する集団の特質であるとする推論を行う傾向があり、それは集団のメンバー全員が同一の性格や性質を持っているという憶測を導く。例えば、判断者の好きな内集団のメンバーの行動は、その人の好ましい性格により行われたと考え、嫌いな外集団の行動は、好ましくない性格により行われたと考える傾向がある。これは、究極の帰属の誤りと呼ばれている。 利己的な帰属 利己的な帰属とは、自分の成功は、自分の好ましい内的な特性が原因であると考え、自分の失敗は、外的な状況が原因であると考えることである。人々は、自尊心を守るためや、傷つきやすい感情を守るために、「悪い人には悪いことが起き、良い人には良いことが起きる」という考えと調和する帰属を行う傾向がある。この帰属は「世界が公正であるとする仮説」と関係があるとされる。防衛的帰属は、この利己的な帰属の一種である。防衛的帰属は、感情が傷ついたり倫理に抵触したりすることを避ける目的で行われた行動や結果に対する説明である。良いことは自分に起きて、悪いことは他人に起きると考える傾向があるが、こうした現実的でない楽観主義は、防衛的帰属の一つの形である。 この利己的なバイアスが広く起きていることに対して、いろいろな説明が行われている。一つの説明は、自尊心を維持するための一般的な動機による希望であるとするものである。もう一つの説明は、社会的な関係における自分自身の開示に関するものであり、他人が自分に対して持っている認識を維持するために、利己的な帰属を行うとするものである。三つ目の説明は、認識上の見方に関するものであり、自分が他の状況で良い結果を得たときの情報を記憶しているので、それで良い結果が起きることを期待し、悪い結果が起きることを期待しないとするものである。 赦し帰属 個人の無礼やミスを個人そのものが起こした行為としてで無く、その個人が属する集団の無礼が起因しているとする。
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