工学的な応用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 15:58 UTC 版)
気体中の放電や、気体をレーザーやマイクロ波などで加熱することで生成される。種々な特性のプラズマが工学的に応用されており、以下ではいくつかの工学的応用例を示す。 蛍光灯、ネオンサイン 蛍光灯はクルックス管の一種であり、グロー放電により水銀をプラズマ状態とし、紫外線を発光することを利用している。ネオンサインは、アルゴンやキセノンなどをグロー放電によりプラズマ状態とし、封入気体固有の波長で発光することを利用している。グロー放電によるプラズマは放電プラズマに分類される。 プラズマプロセス ドライエッチングは、プラズマにより生成したイオンやラジカルを利用して半導体材料の微細加工を行う技術である。 アルカリ金属を内包したナノチューブなどの超分子材料の作成にも利用される。プラズマを利用したダイヤモンドライクカーボン (Diamond like carbon, DLC) の生成法として、プラズマイオン注入成膜(Plasma based ion implantation and deposition, PBIID) 法がある。 スパッタリング法は、まず、プラズマ中のイオンを固体表面に衝突させて固体原子を放出し、次に、放出された固体原子を積層することで薄膜の形成に用いられる。レーザーアブレーションは、レーザーにより固体材料を気化しプラズマを生成する技術である。 液中プラズマとは、液中における気泡の内部にプラズマが生成された状態であり、プラスチックや紙などの母材のめっき加工に利用される。液中プラズマは、超音波で液中に気泡を発生させ、その気泡に電磁波を照射することで生成できる。周りが液体であるため、多くの原料を溶液から供給することができるほか、材料が高温に晒されて燃えることがないなどの利点を持つ。 プラズマ加速 プラズマ加速では電子ビームをプラズマに入射し、プラズマ中の急峻な構造によって生成される電場を用いて荷電粒子を加速する方法である。入射された電子ビームは、プラズマ中の電子を押し出しプラズマウェーク (plasma wake) と呼ばれる、急峻な電場勾配を持った構造を形成する。ここで、プラズマウェークとは押し出された電子が作る、ウェーク(航跡の意)のような構造である。電場勾配は従来の加速器より2-3桁大きいオーダーを達成しており、これにより小型な加速器が実現できると考えられている。小型な加速器は放射線療法などにおいて大きなニーズがある。 核融合発電 高温・高密度の燃料プラズマによる熱核融合反応を利用した核融合発電には、磁場閉じ込め方式と慣性閉じ込め方式がある。 磁場閉じ込め方式では高磁場で閉じ込めた水素プラズマを利用する。 慣性閉じ込め方式では燃料となる水素の同位体を詰めた小球(燃料ペレット)に対し周囲からレーザーや粒子ビームを照射し、急激に圧縮(爆縮)して、瞬間的に熱核融合反応を起こす。 核融合プラズマから電力を得る手法の一種にMHD発電がある。これは、荷電粒子が磁場を横切る際に発生する起電力を利用するものである。粒子の運動エネルギーを直接電気エネルギーに変えることが出来るため、高い変換効率が実現可能である。タービンを用いた熱-電気変換効率が30%程度であることを考えると、プラズマの直接発電は画期的である。 その他の応用例 その他の工学的な応用例に、プラズマディスプレイ、コロナ放電、テスラコイル、アーク灯、アーク溶接、プラズマ切断、反応性イオンエッチング、プラズマCVD、誘導結合プラズマ、イオンエンジン、ロケットの排気、宇宙船の大気圏再突入などがある。 ネオンサイン アーク溶接 イオンエンジン
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