山野一との相互影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 18:11 UTC 版)
山野一によると、ねこぢるの最初の漫画は、ねこぢるがチラシの裏や画用紙などに描いていた「奇妙なタコのようなネコの絵」をモチーフとして、ねこぢるの夢のメモをもとに山野がストーリーを書くことから始まった。そのため初期のねこぢる作品である『ねこぢるうどん』では山野一が原作者としてクレジットされている。二人には「極めて微妙」な役割分担があり、外部の人間をアシスタントとして入れることが出来なかったため、山野一がねこぢるの「唯一の共同創作者」であった。 また山野一作品中にもねこぢる作品から着想された物が多数登場する。1990年代前半の山野作品である『カリ・ユガ』や『どぶさらい劇場』にも、ねこぢる作品のキャラクターである「にゃーこ」や「にゃっ太」の絵が描かれている箇所が存在する。二人の作品に共通して現れる物の例として、「はぐれ豚」または「一匹豚」と書かれた看板が飾られている装飾付きの大型トラックなどがある。 ねこぢるのルポルタージュ漫画作品『ぢるぢる旅行記』(ぶんか社/青林堂)では、ねこぢると「旦那」の二人によるインドやネパールでの旅が描かれている。また、ねこぢるが自身の私生活を題材とした作品『ぢるぢる日記』にも「鬼畜系マンガ家」である「旦那」が登場している。 なお山野一の作品にも、ねこぢるが部分的に関与しており、山野が1980年代後半に『漫画スカット』(みのり書房、掲載年月日不明)に発表した短編『荒野のハリガネ虫』では冒頭のクレジットに「CHARACTER DESINE C.NAKAYAMA」というねこぢるの本名の記載がある。また『ガロ』1987年9月号掲載の短編『在日特殊小児伝きよしちゃん』には、ねこぢるの本名と同じ「チヨミ」という少女が登場しており、1990年に山野が『月刊HEN』というエロ本に発表した短編『さるのあな』でも「チヨミ」に似た少女が登場している。いずれの作品も子供的狂気と障害児虐待をメイン・テーマにしており、ねこぢる作品に近接した世界観となっている。 ねこぢるの死後、山野は雑誌に寄稿した「追悼文」の中で、1998年5月以前の自身の活動について「私も以前は、だいぶ問題のある漫画を描いていたものですが、“酔った者勝ち”と申しましょうか…。上には上がいるもので、ここ数年はほとんどねこぢるのアシストに専念しておりました」と打ち明けている。また彼女の創作的な感性と可能性について「ねこぢるは右脳型というか、完全に感性がまさった人で、もし彼女が一人で創作していたら、もっとずっとブッ飛んだトランシーな作品ができていたことでしょう」と評価している。 その後、山野はねこぢるの様式で描いた漫画作品を「ねこぢるy」の名義で受け継ぎ、ねこぢるの創作様式を踏襲する一方で、コンピュータによる作画を全般的に採り入れた。
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