山手貨物線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 18:50 UTC 版)
大崎駅。山手線ホームと埼京線・りんかい線・湘南新宿ラインのホーム(大崎支線)の間を通る山手貨物線。ホーム北で大崎支線と接続する。 渋谷駅付近(2005年) 。右側の2本の線路が山手貨物線(電車は埼京線205系)。左側の電車は山手線E231系。2020年に渋谷駅の埼京線のホームは北に350メートル移設された。 2021年10月の山手線運休時に運転された山手貨物線の臨時列車 山手貨物線(やまのてかもつせん)とは、山手線の品川駅 - 田端駅間(新宿駅経由)の電車線に並行して走る複線の通称である。略称は山貨(やまか)。現在においては主に埼京線の電車と湘南新宿ラインの列車が走行する線路である。 元来、旅客輸送の増大から、大正期に主に電車線を増設する形で複々線化が行われて成立した。田端駅(田端信号場駅)では東北本線の貨物線(東北貨物線)、大崎駅では現在の旅客ホームの北側で大崎支線へとつながり、また大崎駅 - 品川駅間の目黒川信号場では品鶴線(現在の横須賀線の経路)と合流しており、各線から流入する貨物を別の線に中継する役目を果たしていた。1960年代には当貨物線の輸送力が限界に近付いたため、外環状線の建設が計画され、1973年に武蔵野線として開業した。そのため山手貨物線の役割は薄くなり、特に1986年の埼京線乗り入れ、2001年の湘南新宿ライン運転開始以後は、日中のほとんどの列車がこの2系統の旅客列車で占められ、貨物線としての役割はかなり低下している。 現在運行されている貨物列車は、新鶴見信号場を発着して田端信号場駅を通り東北本線などへ直通する列車と、田端信号場駅から常磐線貨物支線経由で隅田川駅へ向かう列車のみである。高速貨物列車は下り列車(田端信号場駅方面)が1日6本で、そのうち隅田川駅行が3本、上り列車(大崎駅方面)が4本運行され、専用貨物列車は下り列車が2本、上り列車が1本運行されている。高速貨物列車の上下1本を除き、早朝、深夜または旅客列車の本数が少ない時間帯に運行されている。 また、天皇の行幸に際して原宿駅を発着する「お召し列車」が通る線路でもある。 駒込駅 - 田端信号場駅間にある中里トンネルは、山手貨物線で唯一のものである。駒込駅 - 田端駅間はかつて現在の富士見橋の下を掘割ではなく、道灌山トンネルで通過していたが、電車線増設(複々線化)と貨物線の中里トンネルへの付け替えにより廃棄された。道灌山トンネルの痕跡として東側出口のポータルの角が残っており、富士見橋の東側の現内回り線の内側に飛び出している。
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