層序学とは? わかりやすく解説

そうじょ‐がく【層序学】


層序学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 05:55 UTC 版)

(アルゼンチン) サルタ州地層

層序学(そうじょがく、英語: stratigraphy)は、地質学のうち、地層のできた順序(新旧関係)を研究する分野のことである[1]層位学(そういがく)ともいう[2]

層序

層序とは文字通り「地の順」である。地層は本来、地層累重の法則に従って下から順に重なっていくものであるが、長い年月のうちに表面が植生に覆われて断片的にしか観察できなくなったり(露頭)、さらに地層そのものが変形したり(褶曲など)、断片化したり(断層など)、一部が失われたり(侵食など)するので、できたままの地層をすべて見ることは難しい。そこで断片的な情報から、元の地層の重なりを復元するのが層序学である。地層の新旧関係、また復元された地層の重なり、のいずれも層序という。

層序学の手法

米国南西部の地層と対応する地質時代(カンブリア紀から古第三紀)

層序を復元するには、主に地質調査地質図学(幾何学)の手法を用いる。露頭やボーリングコアで観察される地層の同定や新旧関係は、その地層の岩相や堆積構造、含まれる化石等から判断し、それでもわからない場合は、示準化石放射年代測定により地層の時代を求めて新旧関係を判断する。この手法は、地層同定の法則と言われ、18世紀末、ウィリアム・スミスによって初めて用いられ、確立された[3]

層序学は、近代地質学の中で最初に確立した分野であり、地質学の中のいろいろな分野の基礎となるものである。たとえば、生物進化を研究する場合、化石の新旧関係を判定するには、化石そのもの以外の方法(層序または放射年代)を根拠としなければならない。また、断層の活動履歴を調べる場合、元々の地層の重なりがわかっていないと、いつ、どのくらい動いたのかがわからない。

グランド・ステアケースen:Grand Staircase
右上の図の地層図に対応し、左側(北)がブライス・キャニオン、右側がグランド・キャニオン。

考古学研究

考古学研究における層序学(層位学)では、地層が含む遺物遺構の時間的な新旧関係を中心とする情報を引き出す。なお、考古学(特に日本考古学)では「地層」よりも「土層」という用語が一般的に使われる[4]

1905年(明治38年)、ニール・ゴードン・マンローは、横浜市三ツ沢貝塚を発掘したときに、「層序の区分は、おのおの異なる時代に堆積した証拠であり、遺物・土器は各層ごとに区別されねばならない」と指摘し、日本ではじめて地層塁重の法則を理解し、分層発掘を導入した学者である[5]

脚注

  1. ^ 天野・秋山 2004, p. 79.
  2. ^ 平 2004, p. 2.
  3. ^ stratigraphy の用語もスミスによる(ウィンチェスター、2004年)。
  4. ^ 文化庁 2010, p. 94.
  5. ^ 佐藤雅一 著「型式学と層位学」、小林達雄 編『考古学ハンドブック』新書館、2007年、97-98頁。ISBN 978-4-403-25088-0 

参考文献

関連項目

外部リンク


層序学

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モリソン累層」の記事における「層序学」の解説

コロラド高原地域では、モリソン層はさらに4つ下位区分、または「部層」に分割される。最も古いものから最新のものまで、以下のとおりである。 ウィンディヒル部層 :最古部層当時モリソン盆地サンダンス海の南岸沿った浅い海と干潟堆積によって特徴付けられていた。 ティッドウェル部層 :サンダンス海はこのメンバーの間にワイオミング後退し湖畔泥沢置き換えられた。 ソルトウォッシュ部層 :最初純粋な陸成層。その盆地は、季節的な干潟のある半乾燥沖積平野だった。 ブラッシーベイスン部層 : ブラッシーベイスン部層は、ソルトウォッシュ部層よりもはるかにきめの細かい、火山灰豊富な泥岩占められている。川は西から流れて、トゥーディチ湖と呼ばれる巨大なアルカリ湖と、現代のアンコンパーグル・プラトーのすぐ西に位置する広大な湿地を含む盆地流れたモリソン累層堆積物1億4700万年前に終わったモリソン層から次の層までの3000万年間地質記録ギャップがある。上にあるユニットは、下部白亜系のシーダーマウンテン累層、ブロキャニオン、ライトル、およびクローバリー累層である。

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