実験的結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 05:13 UTC 版)
超重元素の最も安定な同位体 (Z ≥ 104)元素原子番号最も安定な同位体半減期ラザホージウム 104 267Rf 2.5時間 ドブニウム 105 268Db 1.2日 シーボーギウム 106 269Sg 14分 ボーリウム 107 270Bh 1分 ハッシウム 108 270Hs 10秒 マイトネリウム 109 278Mt 7.6秒 ダームスタチウム 110 281Ds 9.6秒 レントゲニウム 111 282Rg 1.7分 コペルニシウム 112 285Cn 29秒 ニホニウム 113 286Nh 9.5秒 フレロビウム 114 289Fl 1.9秒 モスコビウム 115 290Mc 650ミリ秒 リバモリウム 116 293Lv 57ミリ秒 テネシン 117 294Ts 51ミリ秒 オガネソン 118 294Og 690マイクロ秒 「拡張周期表」も参照 1970年代に長寿命の超重核の探索が数多く行われた。110から127の原子番号の様々な元素を合成することを目的とした実験が世界中の研究所で行われたものの成功したものはなかった。このことはこのとき行われた実験は断面積が小さい場合は感度が不十分もしくは融合蒸発反応を介して到達可能な核はどれも検出するには寿命が短すぎることを示している。より最近の実験ではこれが事実であろうことが明らかにされている。自然界での同様の探索も失敗し、鉱石1モル当たりの超重元素の存在量の上限は10−14 と 10−11 の間に設定された。これらの失敗にも関わらず、軽イオン衝撃と常温核融合反応により新たな超重元素が数年ごとに様々な研究室で発見されていた。最初の超アクチノイド元素であるラザホージウムは1969年に発見され、1996年にはコペルニシウムまで到達した。これらの原子核は半減期が非常に短い(秒のオーダー)にも関わらず、ラザホージウムより重い元素が存在することは閉殻により引き起こされると考えられる安定化効果を示している。そのような効果を考慮しないモデルでは、これらの元素は急速な自発核分裂により存在できないことになる。魔法数である114の陽子を持つと予想されたフレロビウムは1998年にユーリイ・オガネシアンらによりロシアのドゥブナ合同原子核研究所で初めて合成された。元素114の単一原子が検出され、寿命は30.4秒、その崩壊生成物は数分間の半減期を持っており測定することができた。このことは安定の島の特徴である崩壊系列の「教科書的例」とされ、この領域に安定の島が存在することの強力な証拠を提供した。その後の20年間でさらに成功した実験によりオガネソンまでの全ての元素を発見するに至った。このオガネソンの崩壊特性はより安定の島の存在を支持した。既知の原子核は今までどおり最大の安定性が期待されるN = 184以下のいくつかの中性子になるが(最も中性子が多い原子核293Lv と 294TsでもN = 177にしか達しない)、島の中心の位置はまだ分からないままであり、N = 184に近いほど安定性が増す傾向が示されている。例えば277Cnよりも8個中性子が多い同位体285Cnは半減期がおよそ5桁長い。このことは未知のより重い同位体でも続くと予想される。
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