実験的観測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:29 UTC 版)
ワイル半金属は、その低エネルギー励起が室温であっても電荷を運ぶワイルフェルミオンである固体結晶である。ワイル半金属は電子系におけるワイルフェルミオンの実現を可能にする。これはヘルイウム3超流動相とともにトポロジカル絶縁体を超えてトポロジカルの分類を広げるトポロジカルに重要ではない物質相である。ゼロエネルギーのワイルフェルミオンは運動量空間で分離されたバルクバンド縮退の点、ワイルノード(もしくはフェルミ点)に対応する。ワイルフェルミオンは左と右いずれかの異なるキラリティを有する。 ワイル半金属結晶では、ワイルノード(フェルミ点)に関連するキラリティは運動量空間におけるベリー曲率の単極子と反単極子につながるトポロジー電荷として理解することができ、これ(分割)はこの相のトポロジカル不変量として働く。グラフェンもしくはトポロジカル絶縁体表面のディラックフェルミオンと比較して、ワイル半金属のワイルフェルミオンは最もロバストな電子であり、結晶格子の並進対称性を除き対称性に依存しない。したがって、ワイル半金属中のワイルフェルミオン準粒子は高い移動度を有する。無視できないトポロジーにより、ワイル半金属はその表面上でフェルミアーク電子状態を示すことが期待される。これらのアークは2次元フェルミ輪郭(表面のワイルフェルミオンノードの投影で終わる)の不連続・ばらばらな部分である。2012年の超流動ヘリウム3の理論的研究では、中性超流動でフェルミアークが示唆された。 2015年7月16日、反転対称性を破る単結晶材料であるヒ化タンタル (TaAs) におけるワイルフェルミオン半金属とトポロジカルフェルミアークが初めて実験的に観測された。ワイルフェルミオンとフェルミアーク表面状態の両方が、ARPESを用いた直接電子イメージングにより観察され、トポロジカルな特性が初めて確立された。この発見はバングラデシュの科学者M Zahid Hasan率いるチームが2014年11月に提案した理論的予測に基づいている。 ワイル点(フェルミ点)は、フォトニック結晶やヘリウム3超流動準粒子スペクトル(中性フェルミオン)などの非電子系でも観測されている。
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