角度分解光電子分光
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角度分解光電子分光 (Angle-resolved photoemission spectroscopy、ARPES)とは、固体の逆格子中にある電子の分布(より正確には1粒子電子励起の密度)を直接的に観測する実験方法のことである。 ARPESは通常の光電子分光を改良したもので、通常はサンプルに軟X線を照射することで得られる光電子を調べる。 ARPESは固体表面の電子構造を最も直接的に調べる方法の1つである。
- 1 角度分解光電子分光とは
- 2 角度分解光電子分光の概要
- 3 参考文献
ARPES
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角度分解光電子分光 (ARPES) では、結晶試料に光を照射することで結晶から電子を放出させる。この相互作用の過程を通して、結晶運動量と真の運動量の2つの概念を合わせて用い、それによって結晶のバンド構造に関する情報を直接得ることができる。つまり、結晶中で電子が持っていた結晶運動量は結晶外で真の運動量へと変わり、真の運動量は電子の放出角度 θ と運動エネルギー Ekin を測定して以下の式に代入することで推定できる。 p ∥ = 2 m E kin sin θ {\displaystyle {\boldsymbol {p_{\parallel }}}={\sqrt {2mE_{\text{kin}}}}\sin \theta } ここで p∥ は真の運動量 p の結晶表面に平行な成分、m は電子の質量である。興味深いことに、結晶表面に垂直な方向については界面で結晶対称性が失われるため、この方向の結晶運動量は保存されない。したがって、有用なARPESデータが得られるのは結晶表面に平行な方向に限られる。
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